第18回日本薬局学会学術総会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演)
薬剤師職能・服薬指導

2024年11月3日(日) 10:40 〜 11:30 第6会場 (4階 416+417)

座長:森 博美(岐阜医療科学大学 薬学部 教授)
副座長:高橋 渉(クオール株式会社 クオールアカデミー・教育研修本部 専門教育部 DIグループ 統括主任)

[O-6-3] 腎機能評価を契機としたトレーシングレポートによりデュロキセチンが減量となった一例

清野 飛雄治 ((株)共栄堂 かりん薬局)

【背景】 現在、ポリファーマシーによる有害事象リスクの上昇や薬剤費の増加が問題になっている。その中で薬剤師にはそれらをより一層軽減できるような服薬指導や薬歴の記載、更に関係者への情報提供、減薬提案などが求められている。今回、患者の腎機能低下とポリファーマシーによる有害事象リスクに着目した提案が減薬につながったので報告する。
【患者背景】 80代女性。定期的に内科を受診。慢性疼痛等の既往歴。デュロキセチン40mg/日を含む9種類服薬中。来局は主に患者の娘であり、連携して服薬フォローアップを行っている。
【減薬評価】X年12月、内科処方時、バイタルサインと血液検査の結果を娘が持参。腎機能を推定し、GFR区分G4(15~29)該当の可能性があると判断した。処方監査時に添付文書にて高度腎機能低下者に禁忌もしくは減量基準の記載がある薬剤を確認したが聴取した情報から緊急性は低いと考え疑義照会は行わず、腎機能低下や年齢、ポリファーマシー等を考慮して減薬、減量提案ができないか検討することとした。X+1年1月、患者の近況を電話で娘に再度確認し、医師への情報提供への同意を得た。それらから処方薬の個別評価や腎機能の推算(個別化CCr)を行い、腎機能低下や、相互作用の懸念、疼痛コントロールが良好な事を根拠に、デュロキセチンの減量を医師に提案した。X+1年2月、デュロキセチン30mg/日に減量処方。精神症状や離脱症状、疼痛悪化等がないか経過を確認していく運びとなった。
【考察】患者の状況について多くの情報を家族から聴取できたこと、必要十分な薬の情報収集をもって検討しそれらを合わせて医師へ情報提供・提案できたことがデュロキセチン減量につながったと考える。しかし、日常業務の中でそれらの情報収集に多くの時間を要した。今後は患者と医薬品の情報を的確に収集するための効率化も検討し、ポリファーマシー解消のため重要性を増す減薬提案を増やしていきたい。