[3P-11] Upgrading of Diffractometer for Protein Crystallography, BIX-3,4
タンパク質などの生体高分子を測定対象とするBIX-3, BIX-4(原子力機構・JRR-3炉室設置。JRR-3は2021年6月供用再開予定)は、直接観察された水素原子や水和水の構造情報から、タンパク質の機能発現に必須なプロトン化状態の決定や低障壁水素結合の生体高分子における初めての観察などの成果を上げてきた。その有用性にも関わらず、中性子を用いた構造機能研究は構造生物学分野においてまだ限定的であるが、回折装置を高性能化することで試料対象や回折データ測定可能領域を広げることができれば、より普遍的な手法としての今後の発展が大きく期待できる。そこで、<1>BIX-3,4ではモノクロメータ(遮蔽体内に格納)としてSi(111)結晶を用いている(BIX-3,4: 分解能ddmin=1.5, 1.4Å)。これをSi(311)結晶に変更することにより短波長中性子を得て、装置仕様分解能としてサブÅレベルまでの高分解能化を実現した(遠隔操作で随時切り替え可能)。<2>近年、JRR-3ビームホールが有する冷中性子(長波長)ビームラインが高強度化されている。長波長ビームは大型の単位格子を持つ結晶からのブラッグ反射の分離に有利に働く。そこで、BIX-3,4の一方のビームホール移設を検討しており、得られる中性子強度利得および反射分離能について計算機シミュレーション等から性能評価を行っている。本発表では、これまでの高性能化の実施・評価結果を報告する。