第21回日本蛋白質科学会年会

講演情報

ワークショップ

[WS12] 画像処理を工夫してクライオ電顕で構造決定が難しいタンパク質に取り組む!

2021年6月18日(金) 17:30 〜 20:00 チャンネル2

オーガナイザー:守屋 俊夫(高エネルギー加速器研究機構)、横山 武司(東北大学)

19:35 〜 20:00

[WS12-06] RNAヘリックス挿入リボソームを用いた、クライオ電顕構造多型解析の検討

横山 武司 (東北大・生命)

クライオ電子顕微鏡単粒子解析では、透過型電子顕微鏡によって撮影された大量のデータを、粒子全体さらには局所的な構造の違いにより分類することが可能である。この構造多型解析により、複合体が溶液中でとりうる複数の立体構造を取得し、複合体の持つ運動性や、リガンド結合の影響を観察することが出来る。粒子の一部に着目し構造分類する場合、粒子内の局所領域にマスクを施すことで、マスク内の構造の違いにフォーカスした粒子分類を行う(Focused classification)。mRNAにコードされた遺伝情報を、タンパク質を構成するアミノ酸の配列へと変換するリボソームは、巨大なRNAタンパク質複合体でありクライオ電子顕微鏡の試料として適している。そこで、大腸菌リボソームを題材として、リボソームに画像分類のタグを挿入し、その違いにより構造分類をすることが可能か、さらに最適条件の探索を行った。タグの挿入は、リボソームRNA遺伝子に挿入変異を導入することで、リボソーム上にRNAヘリックスを挿入した変異体を用いた。このリボソームは大腸菌内での機能を保持している。挿入変異の位置や構造の違いにより、どの程度の精度で画像分類を行えるかを検証した。具体的には、2種類の変異体リボソームデータを取得し、それらのデータセットを混ぜ合わせたのち、画像分類の条件を検討し、元画像に正確に帰属出来るかどうか検討した。本講演では、これまでの取り組みを紹介する。