日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

D会場

一般セッション » S10. 活断層・歴史地震

[S10]AM-1

2019年9月18日(水) 09:15 〜 10:30 D会場 (時計台国際交流ホールI)

座長:今井 健太郎(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、平井 敬(名古屋大学大学院環境学研究科)

10:15 〜 10:30

[S10-05] 不確定な活動時期をもつ繰り返し地震群に対するベイズ推論

*野村 俊一1、尾形 良彦1 (1. 統計数理研究所)

不確定な発生時期をもつ繰り返し地震の更新過程におけるパラメータ推論について議論する。点過程理論における厳密な尤度および将来発生確率の評価は、不確定な発生年代に関する多重積分を含むため、数値的に計算することさえしばしば困難となる。代わりに、不確定な発生履歴のモンテカルロシミュレーションは、それぞれのシミュレートされた履歴について尤度や将来確率を計算し、それらの単純平均をとることによって評価に利用することができる。本稿ではBrownian Passage Time (BPT)分布更新過程をベースとしたベイズモデルを提案し、地震本部が公開する日本の内陸主要活断層カタログのうち、少なくとも2つ以上の最新のイベントが特定されたセグメントへと適用する。モンテカルロシミュレーションは数値積分とほぼ同じ結果をもたらすことが示される。パラメータ推論では、地震本部と同様に全国の内陸主要活断層で共通した再来間隔の変動係数を仮定する。日本の73の内陸主要活断層のカタログから、共通の変動係数として0.50というベイズ推定値が得られる。これは、地震本部による長期評価で現在適用されている0.24という変動係数の推定値よりも相当に大きい。変動係数の推定値の違いは、いくつかのセグメントにおける長期確率予測に重大な影響を及ぼす。また、仮想活断層のパラメータ推論と予測の数値実験を示し、ベイズ推定およびベイズ予測を最尤推定に基づくプラグイン法と比較する。さらに、変動係数を全国一律に設定するのが適切であるかどうかについて検討を行い、断層別あるいは集約された地域別での変動係数のベイズ推定を行う。