日本地震学会2019年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(2日目)

一般セッション » S17. 津波

S17P

2019年9月17日(火) 17:00 〜 18:30 P会場 (時計台国際交流ホールII・III)

17:00 〜 18:30

[S17P-01] 2018年インドネシア・パル津波の複数の種類の津波記録から推定された海底地すべり源

*中田 健嗣1、勝間田 明男1、Muhari Abdul2 (1. 気象庁気象研究所、2. インドネシア海洋水産省)

2018年スラウェシ島の地震後にパル湾沿岸を津波が来襲し、甚大な被害を生じた。先行研究では、地震時の断層運動に基づく津波の高さは、現地調査の遡上高さを説明できず、海底地すべりの可能性も指摘されている (Heidarzadeh et al. 2018)。これまでに、津波の観測記録として、現地調査高さ (e.g., Muhari et al. 2018; BMKG 2018; Omira et al. 2019)、検潮所での波形記録の他にビデオ映像を基にした波形も報告されている(Carvajal et al. 2019)。本研究では、津波源を地すべりによるものに起因させ、津波の二次元計算により津波の記録を説明しうる海底地すべり源を探索した。その結果、ビデオ映像と現地調査高さに合うモデルとして、3つの波源モデルの組み合わせ(放物面の半径がそれぞれ1.6km、1km、0.6km)が推定された。これは、地震後しばらくの時間をおいて発生させたものを含む。ただし、このモデルでは、検潮所での津波の振幅に矛盾はないものの、振幅の大きい波の到達時刻は合わない。本研究により、沿岸付近の海底の斜面での局所的な小さい海底地すべりが、地震直後のパル湾内での短い周期の大きな波を説明しうることを示した。