2:30 PM - 2:45 PM
[S01-06] A centroid catalog of P-wave microseisms
■はじめに
地動の脈動の存在自体は1940年代から知られている。励起源が海洋波浪であることは既に確立されており、その励起の特徴から大きく2つに分類される。1つ目は、primary microseisms と呼ばれる約 0.07 Hz の特徴的な周波数を持つ振動である。この周波数が海洋波浪の特徴的な周波数と対応している事と Love波の振幅が卓越している事から、海岸線付近の斜面に打ち寄せる海洋波浪 が励起源だと考えられている。2つ目は secondary microseimsと呼ばれ、海洋波浪のちょうど倍の卓越周期 (0.15 Hz) をもつ。海洋波浪の非線形効果が励起に寄与していると考えられている[LonguetHiggens, 1950。ともに海洋波浪が励起源のため、表面波が卓越していることがよく知られている。
■解析手法
脈動の起源メカニズムを系統的に理解するためには理解するためには、脈動P波の重心位置のカタログ化は情報は重要である。backprojection法は、脈動P波の重心位置を特定するのに有効な手法である。この手法は、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を利用している。また、多くのphase (P, PP, core phase等)の情報を利用することも可能である。しかし全ての情報を同時に使用するため、どの情報が震源位置を抑えているのか検証することが難しい。また、10年以上にわたるグローバルなカタログを作成するためには、計算コスト大きな問題となる。一方、beamforming法の計算コストは実用的であるが、この方法では、slownessベクトルの情報のみを利用しているため、P波とPP波を区別することが原理的にできない。本研究では、beamforming法の自然な拡張として、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を抽出できる新しい手法を提案する。
この手法では、まず、従来のbeamforming法に基づいて、アレー中心でのslowness ベクトルの初期値推定を行う。次のステップでは、slowness ベクトルを固定して、波面の曲率を変化させbeam power が最大化することによって波面の曲率を推定する。これらの値をアレー中心での初期値とし、摂動理論に基づいて、slownessベクトルと波面の曲率の値を反復的に更新していく。波面の曲率から、アレイ中心と励起源の重心位置との距離を推定することができる。波面の曲率はslownessよりも水平方向の不均質に敏感なため、推定精度は悪くなる。しかし推定された距離情報に基づいて(図1)、検出されたスローネスを対応する相(例えば、P, PP)に分類する事が可能となる。この分類された位相に基づいて、推定したslowness ベクトルの値から震源の重心位置を推定する。
■解析
2004年から2018年までに防災科学技術研究所が運用によって展開されているHi-net (速度計 鉛直成分約750 点)を解析した。機器応答は時間領域 で補正し[Maeda et al., 2011]、収録機器起源のコヒーレントなノイズは予め差し引いた[Takagi et al., 2015]。解析には、これら”広帯域化”した速度計記録を用いた。時系列を512秒ごとに切り出し、地震の影響を取り除き解析から除外した。遠地の地震はglobal CMTカタログ[Ekström et al., 2012]を用い除外し、近地の地震は平均自乗振幅の時間変化の大きさから判断し除外した。さらに、観測点ごとの平均自乗振幅の大きさに閾値を設定し、局所的なノイズの影響を受けているとして解析から除外した。選択したデータを用い、0.1-0.2Hzの帯域で解析を行った。
■結果と展望
推定された重心位置は季節的な変動を示しており、過去の研究結果とも調和的である。P, PP, PKP, PKIKP等の多くの相を同定できたため、1箇所のアレーデータから全球点な脈動P波の重心位置のカタログ化(図2)に成功した。本発表では、推定された脈動P波の重心位置のカタログから、脈動の励起メカニズムについて議論する予定である。
地動の脈動の存在自体は1940年代から知られている。励起源が海洋波浪であることは既に確立されており、その励起の特徴から大きく2つに分類される。1つ目は、primary microseisms と呼ばれる約 0.07 Hz の特徴的な周波数を持つ振動である。この周波数が海洋波浪の特徴的な周波数と対応している事と Love波の振幅が卓越している事から、海岸線付近の斜面に打ち寄せる海洋波浪 が励起源だと考えられている。2つ目は secondary microseimsと呼ばれ、海洋波浪のちょうど倍の卓越周期 (0.15 Hz) をもつ。海洋波浪の非線形効果が励起に寄与していると考えられている[LonguetHiggens, 1950。ともに海洋波浪が励起源のため、表面波が卓越していることがよく知られている。
■解析手法
脈動の起源メカニズムを系統的に理解するためには理解するためには、脈動P波の重心位置のカタログ化は情報は重要である。backprojection法は、脈動P波の重心位置を特定するのに有効な手法である。この手法は、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を利用している。また、多くのphase (P, PP, core phase等)の情報を利用することも可能である。しかし全ての情報を同時に使用するため、どの情報が震源位置を抑えているのか検証することが難しい。また、10年以上にわたるグローバルなカタログを作成するためには、計算コスト大きな問題となる。一方、beamforming法の計算コストは実用的であるが、この方法では、slownessベクトルの情報のみを利用しているため、P波とPP波を区別することが原理的にできない。本研究では、beamforming法の自然な拡張として、slowness ベクトルと波面の曲率の両方の情報を抽出できる新しい手法を提案する。
この手法では、まず、従来のbeamforming法に基づいて、アレー中心でのslowness ベクトルの初期値推定を行う。次のステップでは、slowness ベクトルを固定して、波面の曲率を変化させbeam power が最大化することによって波面の曲率を推定する。これらの値をアレー中心での初期値とし、摂動理論に基づいて、slownessベクトルと波面の曲率の値を反復的に更新していく。波面の曲率から、アレイ中心と励起源の重心位置との距離を推定することができる。波面の曲率はslownessよりも水平方向の不均質に敏感なため、推定精度は悪くなる。しかし推定された距離情報に基づいて(図1)、検出されたスローネスを対応する相(例えば、P, PP)に分類する事が可能となる。この分類された位相に基づいて、推定したslowness ベクトルの値から震源の重心位置を推定する。
■解析
2004年から2018年までに防災科学技術研究所が運用によって展開されているHi-net (速度計 鉛直成分約750 点)を解析した。機器応答は時間領域 で補正し[Maeda et al., 2011]、収録機器起源のコヒーレントなノイズは予め差し引いた[Takagi et al., 2015]。解析には、これら”広帯域化”した速度計記録を用いた。時系列を512秒ごとに切り出し、地震の影響を取り除き解析から除外した。遠地の地震はglobal CMTカタログ[Ekström et al., 2012]を用い除外し、近地の地震は平均自乗振幅の時間変化の大きさから判断し除外した。さらに、観測点ごとの平均自乗振幅の大きさに閾値を設定し、局所的なノイズの影響を受けているとして解析から除外した。選択したデータを用い、0.1-0.2Hzの帯域で解析を行った。
■結果と展望
推定された重心位置は季節的な変動を示しており、過去の研究結果とも調和的である。P, PP, PKP, PKIKP等の多くの相を同定できたため、1箇所のアレーデータから全球点な脈動P波の重心位置のカタログ化(図2)に成功した。本発表では、推定された脈動P波の重心位置のカタログから、脈動の励起メカニズムについて議論する予定である。