09:15 〜 09:30
[S06-11] 西中央太平洋のOBSアレイで捉えたアンブリム火山の長周期地震波信号
地殻および最上部マントル構造の解明には雑微動の相互相関解析が有用である. 一般的な解析では, 雑微動源が空間的に均質に分布することが仮定される. しかし, 持続的に地震波信号を生み出す微動源(例えば阿蘇山)が空間に局在すると, 前述の仮定が崩れるため, 構造解析の結果にバイアスをもたらす可能性がある. 全地球規模の解析からギニア湾や西中央太平洋においてもこのような微動源が報告されているが, 地震波信号の発生メカニズムはいずれも未解明なままである.
2014年から2017年にかけて, オントンジャワ海台の構造の解明を目的に, 地球物理観測網(OJPアレイ)が西中央太平洋に展開された. 海底地震計(OBS)の鉛直成分に記録された雑微動に対し, 相互相関解析をおこなったところ, 観測点間を伝播するレイリー波よりも見かけ群速度の速い波束が観測された. その波束の卓越周期は25 秒と18 秒であり, 信号の強さは季節性変動を示さないものの, 大きく時間変動をする. 相互相関関数を用いたback projection解析と, 地震波データのスペクトログラムの比較から, 信号の発生源はOJPアレイ中心部から南東方向に〜1900 km離れたバヌアツのアンブリム火山にあると推定された. アンブリム火山の活動的な火口付近にある1点の中周期地震計データを用いてpolarization解析をおこなった. 1点の観測点のみでは震源の位置を一意に決定できないが, 例えば火口直下に震動源が存在すると仮定すると, 2つの周期の信号の震源は, 互いに〜2 km離れており, ともに海面下〜0–1 kmにあると推定される.
このような火山起源の持続的な地震波信号は, 阿蘇山周辺でも広域(〜2500 km)にわたって観測されており, 火山性流体の流れが引き起こしたクラックの持続的な振動に起源をもつことが知られている. 一方, アンブリム火山においても, InSARデータを用いた先行研究により, 火口直下浅部にダイクが存在すると推定されている. 本研究で観測されたアンブリム火山の地震波信号も, 阿蘇山のようなクラックやダイクの持続的な振動に起源をもつ可能性がある. 地震波信号の発生メカニズムをより詳細に解明するためには, アンブリム火山の火口近傍に地震計観測アレイを展開する必要がある.
2014年から2017年にかけて, オントンジャワ海台の構造の解明を目的に, 地球物理観測網(OJPアレイ)が西中央太平洋に展開された. 海底地震計(OBS)の鉛直成分に記録された雑微動に対し, 相互相関解析をおこなったところ, 観測点間を伝播するレイリー波よりも見かけ群速度の速い波束が観測された. その波束の卓越周期は25 秒と18 秒であり, 信号の強さは季節性変動を示さないものの, 大きく時間変動をする. 相互相関関数を用いたback projection解析と, 地震波データのスペクトログラムの比較から, 信号の発生源はOJPアレイ中心部から南東方向に〜1900 km離れたバヌアツのアンブリム火山にあると推定された. アンブリム火山の活動的な火口付近にある1点の中周期地震計データを用いてpolarization解析をおこなった. 1点の観測点のみでは震源の位置を一意に決定できないが, 例えば火口直下に震動源が存在すると仮定すると, 2つの周期の信号の震源は, 互いに〜2 km離れており, ともに海面下〜0–1 kmにあると推定される.
このような火山起源の持続的な地震波信号は, 阿蘇山周辺でも広域(〜2500 km)にわたって観測されており, 火山性流体の流れが引き起こしたクラックの持続的な振動に起源をもつことが知られている. 一方, アンブリム火山においても, InSARデータを用いた先行研究により, 火口直下浅部にダイクが存在すると推定されている. 本研究で観測されたアンブリム火山の地震波信号も, 阿蘇山のようなクラックやダイクの持続的な振動に起源をもつ可能性がある. 地震波信号の発生メカニズムをより詳細に解明するためには, アンブリム火山の火口近傍に地震計観測アレイを展開する必要がある.