日本地震学会2020年度秋季大会

講演情報

C会場

一般セッション » S08. 地震発生の物理

[S08]AM-1

2020年10月31日(土) 09:00 〜 10:15 C会場

座長:北 佐枝子(建築研究所)、座長:武村 俊介(東京大学地震研究所)

10:00 〜 10:15

[S08-09] 紀伊半島南東沖で発生する浅部低周波微動のエンベロープインバージョンの試み

〇武村 俊介1、矢部 優2、江本 賢太郎3、馬場 慧1 (1.東京大学地震研究所、2.産業技術総合研究所、3.東北大学)

本研究では,DONETの観測記録と3次元地震動シミュレーションで評価したGreen関数に基づき,紀伊半島南東沖で発生する浅部低周波微動の震源時間関数の正確な推定を目指す.Green関数は全国1次地下構造モデル(Koketsu et al., 2012)と付加体構造(Tonegawa et al., 2017)を利用し,OpenSWPC(Maeda et al., 2017)により評価した.仮定した構造による地震動シミュレーションは,DONET1域周辺で発生する微小な地震性すべり現象による観測波形エンベロープの特徴を再現することが確認されている(Takemura et al., 2020).シミュレーションセッティングにより5 Hzまでの地震動が評価可能なことから,シミュレーションにより得られたGreen関数に1-5 Hzのバンドパスフィルターをかけた3成分合成RMSエンベロープを合成し,様々なライズタイムの規格化された震源時間関数を畳み込む.Ji et al. (2003)による非対称cos関数を仮定し,tsとte(継続時間t0 = ts+te)により様々な形状の関数を実現する.観測された1-5 HzのRMSエンベロープとの相互相関係数が一番高くなるパラメータを探索し,最適なtsteを推定した.その後,Variance reductionにより地震モーメントを推定し,震源時間関数(モーメントレート関数)を直接得る.

手法の妥当性を検討するために,まずはGreen関数にYabe et al. (2019) のFig. 6の震源時間関数を畳み込んだ合成波形を作成し,この合成波形に対し手法を適用した.相互相関係数の評価の結果,ts = 2.75 sとte = 10.25 sが最適と推定された.本手法では,仮定した震源時間関数のもっとも大きなモーメント解放についてはモデル化できているが,マイナーなモーメント解放については再現できていない.

今後はサイト増幅特性を考慮した上で浅部低周波微動の観測記録への適用,マイナーなイベントの影響を評価することでより正確な震源時間関数の推定を目指す.

手法に関する参考文献 
Yabe et al., 2019 JGR, https://doi.org/10.1029/2018JB016815
Takemura et al., 2020 https://doi.org/10.31223/osf.io/ngy2j

謝辞 防災科学技術研究所DONET(https://doi.org/10.17598/NIED.0008)の波形記録を利用しました.地震動計算には海洋研究開発機構の地球シミュレータを利用しました。本研究は、JSPS科研費19H04626および18K13639により実施されました。