日本地震学会2020年度秋季大会

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Room C

Regular session » S08. Earthquake physics

[S08]PM-2

Sat. Oct 31, 2020 2:30 PM - 3:15 PM ROOM C

chairperson:Yumi Urata(National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)

2:30 PM - 2:45 PM

[S08-20] Friction parameter of metagabbro gauge obtained from a large-scale biaxial friction apparatus

〇Akihiro Shimoda1, Futoshi Yamashita2, Eiichi Fukuyama1,2, Shun Watanabe1 (1.kyoto university, 2.National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)

シェールガス・オイルをはじめとした非在来型化石燃料資源は水圧破砕法を用い地下深くの岩盤に亀裂を入れることで採掘を行う.その際,岩盤内へ破砕流体を注入することにより誘発地震が発生することがあり,断層摩擦の理解が重要となる.本研究では,防災科学技術研究所(NIED)の大型試験機を用いて2018年度に実施したガウジを挟まない岩石摩擦実験,2020年の2月から4月にかけて実施したガウジを挟んだ岩石摩擦実験で得られたデータを用いて速度状態依存法則の摩擦パラメータであるb-aの推定を行なった.ここでは主にガウジを挟んだ実験結果を報告する.

実験では1.5×0.5×0.5 m3(上)および2.0×0.1×0.5 m3(下)の変斑レイ岩を上下に積み重ね(有効断層面積は0.15m2),下部の岩石試料は振動台に固定し上部の岩石試料は振動台外の反力床に反力棒を通して固定した.上下の岩石試料の間にガウジを散布して実験を行った.ガウジ層の厚さは3 mmとなるように調整した.ガウジは変斑レイ岩を破砕機により粉砕した後,超微粉砕機ナノジェットマイザー((株)アイシンナノテクノロジーズ)で平均粒径が10 µm,最大粒径が200 µmとなるように粉砕した.実験は垂直応力3.3 MPaもしくは6.5 MPaを載荷し振動台を水平方向に移動させることで行なった.載荷速度を段階的に変化させるvelocity step testを行い,1 mm/sで8 s,0.1 mm/sで30 s,0.01 mm/sで150 s,0.1 mm/sで30 sを1セットとして3回繰り返したのち,最後に1 mm/sで8 s,0.01 mm/sで150 s,1 mm/sで8 sで載荷させた.上記の載荷速度において垂直応力3.3 MPをかけた実験を2回,6.5 MPaかけた実験を2回,計4回の実験を行った.各実験前には前の実験で用いたガウジを全て取り除き,新しいガウジを散布しガウジ層を作って行った.実験時に生じたすべり量として,岩石試料の両端に設置したレーザー変位計とそのターゲットによって相対変位を計測した.すべり面にかかる垂直応力とせん断応力は岩石試料外部に取り付けたロードセルを用いて測定し,ガウジの摩擦係数はそれぞれの比を取ることにより推定した.

載荷速度を段階的に変化させたvelocity step testの際の摩擦係数と上下の岩石試料間の相対変位の関係が速度状態依存摩擦則に従うとして,摩擦パラメータb-aを求めた.velocity step change前後の摩擦係数の差を,velocity step change前後の載荷速度の比の自然対数で除することによりb-aを求めた.これより垂直応力を6.5 MPaとした実験におけるb-aは正で1.5x10-4~1.5x10-3であり,垂直応力を3.3 MPaとした実験におけるb-aも正で9.0x10-4~2.3x10-3と推定することができた.これらの値は2018年度に行った岩石間にガウジを挟まずに行った実験データから推定したb-aの値(1.4x10-3)(下田他,JpGU-AGU Joimt Meeting 2020)に近い値をとることがわかった.

Gu et al. (1984)では不安定すべりを引き起こす臨界有効法線応力を定義している.またMcLaskey & Kilgore (2013)では臨界有効法線応力とすべり弱化距離から不安定すべりを引き起こすcritical stiffness(Kcrit)を定義している.Critical stiffnessは測定データを説明するパラメータa,b,Lcと岩石にかかる垂直応力から推定することができる.岩石にかかる垂直応力は実験条件から,b-aは今回の解析から推定できたため,今後,Lcを推定することで不安定すべりを引き起こす条件について議論できると考えられる.