16:00 〜 17:30
[S08P-03] MaficなSill・Dikeが交差する南ア金鉱山直下で発生したM5.5地震解明に向けた3次元地震探査データの再解釈
2014年、南アフリカ・オークニー市付近でM5.5の地震が発生した。この地域の典型的なM>4の金鉱山誘発地震は、深さ3km以浅の鉱山採掘深度で北東-南西走向の正断層で発生する。しかし,このM5.5地震は,金鉱山の採掘深度よりも下の,北北西-南南東走向のほぼ鉛直な未確認の構造における,3〜7 kmの深度範囲を左横ずれ的に破壊した。
このM5.5地震の破壊域は、南アフリカのKaapvaal Cratonの上に29年前に堆積し変成した、Witwatersrand Super Group内のWest Rand Groupであった。この上から地表(海抜約1.3 kmの準平原)までは,金鉱脈の地層を持ち、主に珪岩からなるCentral Rand Group,洪水玄武岩(Ventersdorp Super Group; 27億年前),主にドロマイトからなるTransvaal Group(26-27億年前)の順に折り重なっている。一部には,さらに若いPretoria GroupやKaroo Super Group(約2億年前)も地表付近で見られる。
金鉱山は,開発前に反射法地震探査を行っており,採掘深度(地下2~3km)の解釈が行われていた。小笠原ら(2017 AGU)は,M5.5地震の余震発生帯と交差する4本の2次元側線の1992年の探査データを再解析し,M5.5地震の余震発生帯とほぼ一致するVertical Zone of Disruption (VZD)を確認することができた。またこのVZDが,採掘レベルの既知の断層に切られていないことも確認した。しかし,M5.5の地震発生場は,幾世代もの断層運動やSill・Dikeの貫入を経験し,地質構造が非常に複雑であったため,2次元データだけでより詳細を議論することができなかった。
Manzi et al.とLinzer et al.(2018地震学会)は,上記の4本の二次元側線と余震発生帯のより広い範囲を含む3次元反射法探査データ(範囲15km×8km;TWT4秒;binサイズ25m×25m;以下3Dキューブ)が再解析できる状態であることを見つけ,野田(2020 立命館大修士論文)は,West Rand Group中の反射体の三次元形状やVZDをより明瞭に描き出すことに成功した。この3Dキューブには,ICDP ・DSeis計画(小笠原他、ディープマイニング2019、EGU 2020、JpGU 2020a)が,地下2.9kmから余震発生帯まで掘削した3つの孔井(総延長1.6km)が含まれていた。本研究では,DSeis計画のコアや孔内検層や,鉱山内でマップされている地質情報と,3Dキューブ内の反射体を詳しく比較する。余震発生帯の東側は,金鉱脈を含むCentral Rand層群が深く落ち込んでいることが知られているが,野田(2020)はその構造解釈を行うことができていなかった。3Dキューブと比較するための地表探査掘削のデータが見つかっていなかったからである。それを入手できたため,本研究では,余震発生帯の東側の構造解析も行う。本ポスターではこれらを報告する。
謝辞 ICDP, JSPS (Core-to-Core; SA NRF bilateral), 災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画,立命館大学, AngloGold Ashanti, Harmony
このM5.5地震の破壊域は、南アフリカのKaapvaal Cratonの上に29年前に堆積し変成した、Witwatersrand Super Group内のWest Rand Groupであった。この上から地表(海抜約1.3 kmの準平原)までは,金鉱脈の地層を持ち、主に珪岩からなるCentral Rand Group,洪水玄武岩(Ventersdorp Super Group; 27億年前),主にドロマイトからなるTransvaal Group(26-27億年前)の順に折り重なっている。一部には,さらに若いPretoria GroupやKaroo Super Group(約2億年前)も地表付近で見られる。
金鉱山は,開発前に反射法地震探査を行っており,採掘深度(地下2~3km)の解釈が行われていた。小笠原ら(2017 AGU)は,M5.5地震の余震発生帯と交差する4本の2次元側線の1992年の探査データを再解析し,M5.5地震の余震発生帯とほぼ一致するVertical Zone of Disruption (VZD)を確認することができた。またこのVZDが,採掘レベルの既知の断層に切られていないことも確認した。しかし,M5.5の地震発生場は,幾世代もの断層運動やSill・Dikeの貫入を経験し,地質構造が非常に複雑であったため,2次元データだけでより詳細を議論することができなかった。
Manzi et al.とLinzer et al.(2018地震学会)は,上記の4本の二次元側線と余震発生帯のより広い範囲を含む3次元反射法探査データ(範囲15km×8km;TWT4秒;binサイズ25m×25m;以下3Dキューブ)が再解析できる状態であることを見つけ,野田(2020 立命館大修士論文)は,West Rand Group中の反射体の三次元形状やVZDをより明瞭に描き出すことに成功した。この3Dキューブには,ICDP ・DSeis計画(小笠原他、ディープマイニング2019、EGU 2020、JpGU 2020a)が,地下2.9kmから余震発生帯まで掘削した3つの孔井(総延長1.6km)が含まれていた。本研究では,DSeis計画のコアや孔内検層や,鉱山内でマップされている地質情報と,3Dキューブ内の反射体を詳しく比較する。余震発生帯の東側は,金鉱脈を含むCentral Rand層群が深く落ち込んでいることが知られているが,野田(2020)はその構造解釈を行うことができていなかった。3Dキューブと比較するための地表探査掘削のデータが見つかっていなかったからである。それを入手できたため,本研究では,余震発生帯の東側の構造解析も行う。本ポスターではこれらを報告する。
謝辞 ICDP, JSPS (Core-to-Core; SA NRF bilateral), 災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画,立命館大学, AngloGold Ashanti, Harmony