日本地震学会2020年度秋季大会

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Poster session (Oct. 31th)

Regular session » S08. Earthquake physics

S08P

Sat. Oct 31, 2020 4:00 PM - 5:30 PM ROOM P

4:00 PM - 5:30 PM

[S08P-14] Examination of constitutive relation for the fault zone along the plate boundary in subduction zone

〇Takane Hori1 (1.Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology)

沈み込み帯プレート境界に沿った断層帯では、巨大地震をはじめとした様々な規模の地震が発生するとともに、様々な規模のゆっくり地震(通常の地震よりも周波数の低い地震や地震波をほとんど伴わないゆっくりした断層すべり)も発生する。このように時空間的に多様な振る舞いを示す断層帯をどのようにモデル化するのが適切だろうか?実体そのものを忠実にモデル化することは、観測・観察不能なことが多すぎて困難なので、目的に応じて単純化したモデルを構築する必要がある。ここでは、時空間的に多様な地下の断層の振る舞いをモニタリングしつつ、その後の推移を予測することを目的としたモデル化を考える。モニタリングし、かつ、予測をするということは、モデルに使う変数やパラメータが観測データによって十分に拘束される必要がある。地下(しかも多くは海底下)数km〜数十kmにある断層帯で発生している現象のモニタリングと予測をするために我々が用いることができる観測データは、断層帯での動きを反映した地表(海底)での変位・歪変化などに限られる。そのため、断層帯内部で生じている様々な物理・化学過程を直接モデルに取り込むことは無理がある。観測データから拘束できるのは、高々、断層帯の厚さ方向全体の歪(あるいは相対変位)の時空間分布やその周辺の弾性体の物性であり、それすらも限られた空間解像度で推定できるに過ぎない。そこで、断層帯に沿った歪(あるいは相対変位)の時空間分布をモニタリングと予測の対象とすることを考える。モニタリングについては、従来から行われているインバージョン解析そのものであるが、予測をするには、断層帯に沿った歪(あるいは相対変位)がどのような発展則に従うのかを考える必要がある。つまり、断層帯の構成関係を、歪(あるいは相対変位)と断層帯に働く応力との関係でどう記述するかが問題となる。通常の地震に対しては、断層すべり時の弱化と、弱化後の強度回復過程を表現できることが必要である。また、様々な規模の地震発生を表現するためには、スケール依存性や階層性を取り入れることが必要と考えられる。一方、ゆっくり地震に対しても、部分的にはそれらの組み合わせで表現できる場合がある。しかし、ゆっくり地震のモデル化で従来必須と考えられることが多い、すべり速度依存性の導入の必要性や導入する場合の定式化が、まず検討すべき課題と考えている。この課題について、単純な系を用いた数値実験の検討結果について紹介する予定である。