1:00 PM - 1:15 PM
[S09-18] Master event location estimation method using seismic amplitude: application to volcanic tremors occurred at Meakandake volcano
地動振幅のみを利用した震源決定法(Amplitude source location: ASL)は、火山性微動をはじめとした相の着信時を利用した震源決定が困難なイベントの震源推定に広く用いられている。ASL法ではサイト補正を行った観測振幅の空間分布から震源位置を推定するため、サイト特性の推定精度が震源位置の精度に多大な影響を与える。そこで、本研究では、振幅比を用いてサイト特性を除去し、基準イベントの震源に対する相対的な位置を推定するという新たな手法を提案する。
定式化の概要は次の通りである。同一観測点において、震源位置の基準となるマスターイベントの観測振幅とサブイベントの観測振幅の比は、マスターイベントとサブイベントの震源振幅項の比と距離減衰及び内部減衰項の比の積で表現できる。その際、マスターイベント及びサブイベントの震源距離の差がそれぞれの震源距離に比べてごく小さいという近似を行い、また、両辺の対数を取ることによって、震源振幅の比及び相対震源の位置(3成分)の4成分を未知数とする線形の方程式が得られる。したがって、4点以上の観測データがあれば標準的な最小二乗法を用いて相対震源の位置を推定できる。本研究の定式化は走時を用いたマスターイベント法(例えばAoki, 1974, JPE)と同様の考え方に基づいており、振幅を用いたマスターイベント法と呼ぶことができる。
この振幅を用いたマスターイベント法を用いて、2008年11月16日に北海道東部の雌阿寒岳で発生した火山性微動の震源推定を行った。図(a)に観測波形を示す。この火山性微動はOgiso and Yomogida (2012, JVGR)によってASL法で震源が推定され、phase1~3における震源域が異なっていることがわかっている。Ogiso and Yomogida (2012) と異なる1次元の速度・減衰構造を導入してASL法を適用したところ、Ogiso and Yomogida (2012)と同様の結果が得られた(図b)。本研究で提案する相対震源決定を行ったところ、各phaseの震源域のまとまりがASL法の結果よりも向上し、また、震源域のすみ分けの様子がASLの結果とは異なることがわかった(図c)。この微動はTakahashi et al. (2018, JVGR)による低比抵抗領域で発生し、また、クラックの開口を示唆する地殻変動が重畳していたことがわかっている(Aoyama and Oshima, 2015, EPS)。Ogiso and Yomogida (2012)ではphase1からphase2にかけて微動震源が深部に移動し、その後phase3にかけて北東方向に移動したと解釈されるが、本研究の結果に基づくとphase1の微動が低比抵抗域の南東端で発生し、その後、phase2と3の間に深部から浅部へ移動したと解釈される。Phase2は低比抵抗域の深部で活性化した火山性流体が地殻変動を引き起こしつつ上昇する際の微動を、phase3は上昇した流体が浅部で発生させた微動をそれぞれ観測したというモデルが想定できる。
定式化の概要は次の通りである。同一観測点において、震源位置の基準となるマスターイベントの観測振幅とサブイベントの観測振幅の比は、マスターイベントとサブイベントの震源振幅項の比と距離減衰及び内部減衰項の比の積で表現できる。その際、マスターイベント及びサブイベントの震源距離の差がそれぞれの震源距離に比べてごく小さいという近似を行い、また、両辺の対数を取ることによって、震源振幅の比及び相対震源の位置(3成分)の4成分を未知数とする線形の方程式が得られる。したがって、4点以上の観測データがあれば標準的な最小二乗法を用いて相対震源の位置を推定できる。本研究の定式化は走時を用いたマスターイベント法(例えばAoki, 1974, JPE)と同様の考え方に基づいており、振幅を用いたマスターイベント法と呼ぶことができる。
この振幅を用いたマスターイベント法を用いて、2008年11月16日に北海道東部の雌阿寒岳で発生した火山性微動の震源推定を行った。図(a)に観測波形を示す。この火山性微動はOgiso and Yomogida (2012, JVGR)によってASL法で震源が推定され、phase1~3における震源域が異なっていることがわかっている。Ogiso and Yomogida (2012) と異なる1次元の速度・減衰構造を導入してASL法を適用したところ、Ogiso and Yomogida (2012)と同様の結果が得られた(図b)。本研究で提案する相対震源決定を行ったところ、各phaseの震源域のまとまりがASL法の結果よりも向上し、また、震源域のすみ分けの様子がASLの結果とは異なることがわかった(図c)。この微動はTakahashi et al. (2018, JVGR)による低比抵抗領域で発生し、また、クラックの開口を示唆する地殻変動が重畳していたことがわかっている(Aoyama and Oshima, 2015, EPS)。Ogiso and Yomogida (2012)ではphase1からphase2にかけて微動震源が深部に移動し、その後phase3にかけて北東方向に移動したと解釈されるが、本研究の結果に基づくとphase1の微動が低比抵抗域の南東端で発生し、その後、phase2と3の間に深部から浅部へ移動したと解釈される。Phase2は低比抵抗域の深部で活性化した火山性流体が地殻変動を引き起こしつつ上昇する際の微動を、phase3は上昇した流体が浅部で発生させた微動をそれぞれ観測したというモデルが想定できる。