日本地震学会2020年度秋季大会

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Session for Selection of Student Presentation Award

Session for Selection of Student Presentation Award » Room C (S06, S09)

[SPA]PM-3

Thu. Oct 29, 2020 4:00 PM - 5:00 PM ROOM C

chairperson:Yasuhiro Yoshida (Meteorological Collage)

4:30 PM - 4:40 PM

[S09P-05] Repeater earthquakes observed in seismicity around the Fukushima-Ibaraki border since the 2011 Tohoku-oki Earthquake

*Rina Ikeda1, Keisuke Yoshida1, Ryo Takahashi2, Toru Matsuzawa1, Akira Hasegawa1 (1. Tohoku University, 2. Meteorological Agency)

茨城県北部では2011年3月19日と2016年12月28日にM6程度の地震が発生しており、2つの地震は同一の断層面上で発生している可能性が指摘されている(Fukushima et al., 2018; Uchide, 2017, JpGU)。内陸の断層でこのような短期間に地震がくり返される事例は大変珍しいため、内陸地震の発生サイクルや応力蓄積・解放過程を理解する上で極めて重要な事例である。小中地震の中にも繰り返し地震が存在する場合、それらは非地震性滑りの指標となる (Nadeau & Johnson, 1998)。多くの先行研究では,繰り返し地震の検出のために波形の相互相関を用いている。しかし,その方法では近傍で起こった地震群を繰り返し地震と見誤る可能性がある。本研究では、2011年3月の東北地方太平洋沖地震の発生後に福島-茨城県境周辺において活発に発生している小中地震を用いて精密な震源再決定を行い、それに基づき繰り返し地震の存在を調べた。

本研究では2003年から2018年10月31日までに福島-茨城県境周辺で発生したMJMA≥1の地震46002個を対象に震源の再決定を行った。手法はYoshida & Hasegawa (2018)と同様に、Double-Difference法 (Waldhauser & Ellsworth, 2002)を用いた。これは、波形の相互相関により高精度に求めたP,S波の相対到達時刻差データから震源位置を推定する手法であり、その精度を大幅に向上することができる。Takahashi et al. (2019, JpGU)が同じ活動を対象に小中地震の震源の再決定を行っているが、彼らが用いた地震のマグニチュード範囲は MJMA≥2である。本研究ではより多くの地震の再決定を行うことにより,より詳細な断層構造を求めた。

得られた震源分布から、茨城県北部に西へ傾斜する明瞭な一枚の面構造が見られた。これはTakahashi et al. (2019, JpGU) がM6地震が繰り返したことを推定したのと同じ面構造である。

繰り返し地震の検出のために、46002個の地震の全ペアの地震間距離と応力降下量20MPa (池田・他,2020, JpGU)を仮定した際の断層サイズ(半径)を計算した。そして、地震間距離*10<平均断層サイズ(半径)、マグニチュードの差が0.5以下となる地震ペアを繰り返し地震とみなした。茨城県北部の断層上にはそのような地震が2≤ MJMA≤ 3で1000個弱, MJMA≥3で数100個見つかった。これまで繰り返し地震はプレート境界沿いで発見されることが多かったが、この結果は内陸でも繰り返し地震は発生しうることを示唆している。