16:00 〜 17:30
[S09P-06] 2011年東北地方太平洋沖地震後の地震活動の活発化と剪断ひずみエネルギー変化
2011年東北地方太平洋沖地震の発生後,日本列島の内陸域では,秋田県中部,福島・山形県境,茨城県北部,栃木・群馬県境,千葉県北東部,静岡県東部,長野県北部,長野・富山県境など,広範囲にわたって各地で地震活動の活発化が確認された(例えば,Toda et al., 2011).本研究では,太平洋沖地震によって内陸域にもたらされた剪断ひずみエネルギー変化を評価し,活発化した地震活動について,太平洋沖地震の影響を検討した.剪断ひずみエネルギーは,応力テンソルの第2不変量や相当応力に関連する量で,その増加は,ランダムに分布する断層群の平均的な剪断応力の増加に対応する(Saito et al., 2018).
太平洋沖地震による剪断ひずみエネルギー変化は,Saito et al.(2018)の導出に従い,半無限均質弾性体を仮定し,Okada(1992)の方法を用いて計算した.太平洋沖地震の震源断層モデルは,Ozawa et al.(2011)のモデルを採用した.背景の応力場は,F-netモーメントテンソル解(1997年1月1日から太平洋沖地震前まで,深さ30 km以浅)を用い,Matsumoto(2016)の方法に基づき,各格子点(経度・緯度0.05度間隔)から30 km以内のモーメントテンソル解の足し合わせによって推定した.
太平洋沖地震により,東北日本・中部日本では広範囲にわたって剪断ひずみエネルギーは解放され,減少を示す.しかし,秋田県中部,茨城県北部,栃木・群馬県境,千葉県北東部,静岡県東部,長野・富山県境などの各所で増加を示す地域がみられ,地震活動の活発化とよい相関を示す.剪断ひずみエネルギーの増加が,地震活動の活発化に影響を及ぼしていると考えられる.これらの地域の剪断ひずみエネルギー変化は,平均的な剪断応力に換算して概ね0.01MPa以上の増加に対応する.一方,福島・山形県境や長野県北部では,剪断ひずみエネルギーの減少域内で地震活動の活発化がみられている.福島・山形県境の地震活動については,太平洋沖地震後に生じた流体移動に伴う断層強度の低下との関連性が示唆されており(Yoshida et al., 2019),これらの地域では,剪断ひずみエネルギー変化ではなく,間隙水圧の上昇などが地震活動の活発化に影響を及ぼしている可能性が考えられる.
太平洋沖地震による剪断ひずみエネルギー変化は,Saito et al.(2018)の導出に従い,半無限均質弾性体を仮定し,Okada(1992)の方法を用いて計算した.太平洋沖地震の震源断層モデルは,Ozawa et al.(2011)のモデルを採用した.背景の応力場は,F-netモーメントテンソル解(1997年1月1日から太平洋沖地震前まで,深さ30 km以浅)を用い,Matsumoto(2016)の方法に基づき,各格子点(経度・緯度0.05度間隔)から30 km以内のモーメントテンソル解の足し合わせによって推定した.
太平洋沖地震により,東北日本・中部日本では広範囲にわたって剪断ひずみエネルギーは解放され,減少を示す.しかし,秋田県中部,茨城県北部,栃木・群馬県境,千葉県北東部,静岡県東部,長野・富山県境などの各所で増加を示す地域がみられ,地震活動の活発化とよい相関を示す.剪断ひずみエネルギーの増加が,地震活動の活発化に影響を及ぼしていると考えられる.これらの地域の剪断ひずみエネルギー変化は,平均的な剪断応力に換算して概ね0.01MPa以上の増加に対応する.一方,福島・山形県境や長野県北部では,剪断ひずみエネルギーの減少域内で地震活動の活発化がみられている.福島・山形県境の地震活動については,太平洋沖地震後に生じた流体移動に伴う断層強度の低下との関連性が示唆されており(Yoshida et al., 2019),これらの地域では,剪断ひずみエネルギー変化ではなく,間隙水圧の上昇などが地震活動の活発化に影響を及ぼしている可能性が考えられる.