日本地震学会2020年度秋季大会

Presentation information

Poster session (Oct. 30th)

Regular session » S10. Active faults and historical earthquakes

S10P

Fri. Oct 30, 2020 4:00 PM - 5:30 PM ROOM P

4:00 PM - 5:30 PM

[S10P-01] Web Search System for Japan Historical Seismicity

〇Yoshiko YAMANAKA1, Tatsuo USAMI (1.Nagoya Univ.)

日本は昔から地震に襲われ多くの被害を出している。しかし地震観測から地震活動がわかるようになったのは20世紀になってからである。明治初頭以前の地震活動を知るには史料に残る地震に関する記事が重要である。宇佐美は多くの古文書を調査し、歴史地震史料の収集を行ってきた。これらは新収日本地震史料シリーズ、日本の歴史地震史料拾遺シリーズにまとめられている。さらに主要な地震被害については『日本被害地震総覧』(東京大学出版会)として刊行されている。今回、宇佐美らによりこれまでに調査された史料から見つけた有史から明治5年までに発生した有感地震のカタログ『歴史地震総表』が作成された [宇佐美・石井,2019] 。これは、有感地震のリストで、いつ、どこでどのくらいの揺れを感じたかが時間順にまとめられている。地震件数は24361件にもおよぶ膨大なものである。『日本被害地震総覧』では主たる被害地震しかわからなかったが、この総表をみればそれらの余震活動が把握できるなど、地震学にとって活用価値の高い資料となっている。

しかしあまりに膨大であることから活用の利便性を考え、今回『歴史地震総表』の検索システム (http://wwwevrc.seis.nagoya-u.ac.jp/sohyo/)を構築した。総表としての活用を考え、検索期間、有感地点名を検索項目とした。また一般的には有感地点名を指定することは難しいので、都道府県名からも検索ができるようにした。今後いろいろ活用しつつ検索項目の追加や改良を行う予定である。

総表では震度がどの史料で判断されたのかはわからないが、地震史料検索システムを活用する事で概ね検討をつけることができる。これまで我々は新収日本地震史料シリーズ、日本の歴史地震史料拾遺シリーズにまとめられている史料について史料検索システム(http://wwwevrc.seis.nagoya-u.ac.jp/HistEQ/)を構築してきた(山中, 2015)。これらの史料集は収集時期毎にまとめて刊行されており、索引がないため1つの地震についての史料がどの刊行物にあるかはこれらの史料を熟知した研究者しか使いこなせなかった。史料検索システムでは日時や地震名、史料名などから検索可能である。まだデータベースが不完全ではあるが、歴史地震を研究した文献資料検索もここからできるようにしてある。またもう少し一般向けに『日本被害地震総覧』に載っている地震についてその震央情報を用いて地図から地震を検索できるシステム(http://wwwevrc.seis.nagoya-u.ac.jp/HistEQMap/)も構築している。

今回宇佐美による歴史地震史料調査成果については様々な形で検索し活用できるようにしたが、これまでまとめられた史料集が発行された後も史料は見つかっている.また最近では多くの研究者が調査を行い、今でも新たな史料が発見されている。今後の歴史地震研究への活用を考えるとデータベースの一元化が重要であり、それをどのように実現していくか、また、継続的に維持管理していく方法なども今後の大きな課題である。

なお宇佐美による総表の印刷物をご希望の方は越後智雄氏 (echigo@kankyo-c.com) までお問い合わせ下さい。