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[S14-03] 群発地震の予測可能性と2020年長野県中部群発地震の考察
ゆっくりと断層が滑るスロースリップや、火山活動時の流体貫入などによる断層の弱化はしばしば群発地震活動を誘発する. このタイプの地震活動は、地震の予測に一般的に使用されるETASモデルが想定する、時間的に先行する地震による誘発の連鎖とは異なる因果関係で発生するため、地震カタログのみからの予測が困難であることが知られている. しかしながら、誘発源である地殻内現象の測地学的データを用いることで、短期的な予測が可能になると考えられる. 鍵となるのは単位時間あたりの地震の期待発生数(強度)のうち、他の地震と独立な成分:常時地震活動(background seismicity)、を感度良く推定することにあり、我々の研究ではこれをベイズ法による非定常ETASモデル(Kumazawa and Ogata, 2013)で実践する。さらに非定常ETASモデルを今年4月から続く長野県中部の群発地震に適用し、常時地震活動の時間変化とそこから得られる特徴について議論する。