日本地震学会2020年度秋季大会

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Poster session (Oct. 31th)

Regular session » S14. Earthquake prediction and forecast

S14P

Sat. Oct 31, 2020 4:00 PM - 5:30 PM ROOM P

4:00 PM - 5:30 PM

[S14P-01] Water temperature change and Seismic activity in the western region of Shizuoka Prefecture

〇Hironobu Kamikubo1 (1.Hamamatsu Hokusei Jhs)

図1は静岡県西部地域で白金測温抵抗体の水温センサーを用いて行っている長期水温変化である.観測開始は浜松市中郡(NG)が2013年5月, 湖西市新居(KOA),磐田市中泉(IWN),掛川市徳泉(KAT)が2016年8月である.
NGでは2014年後半から下降を続けていた水温が2017年から上昇に転じ,その後急激な温度上昇が観測されていたが2020年頃より上昇が停滞しているように見える.
 図2はNGの浜名湖周辺の長期スロースリップ終息後の2017年1月1日から2020年8月5日までの水温変化である.
 図3は同時期の静岡県西部地域の深さ20km-25kmのM1.0以上の地震活動の積算図である.図中の2018.6.12,2018.11.3,2020.1.30,2020.6.25はこの間に地震活動が活発化し始めた日である.
 これらの地震活動の活発化した時期に対応して水温の上昇率の高まりが見られる.
また,地震活動が活発化した後に活動が停滞する期間が見られるが,地震活動の停滞終息後にやや遅れて水温変化の停滞(2018.6.12)や下降(2018.11.3, 2019.8.13)が見られる. 2020.1.30からの地震活動の急増はクラスターの発生によるものである.
 浜名湖周辺で観測された長期スロースリップが2016年末頃に終息したことから浜名湖以東への応力の増加がもたらされ,この地域の地震活動が活発化したと考えられる.特に浜松中郡(NG)と磐田中泉(IWN)で水温の上昇が顕著に見られることからこの地域への地下応力の増加が進んでいると考えられる.
 地震活動の増加をもたらした地下応力の変化と水温変化との間にみられる同期性は,佃が提唱した地殻の岩盤の応力が強まると深部の高圧流体は低圧環境である地殻上部へ移動し浅層地下水に混じり地下水温を上昇させるとした深部流体上昇仮説(Tsukuda et al.2005)と調和する.

【参考文献】
Tsukuda,T.,K.Goto and O.Sato,2005, Bull.Earthq.Res.Inst,80,105-131.
上久保廣信,静岡県西部地域の地下水温変化,日本地震学会講演予稿集S14-P04,2019.

図1 上から湖西市新居(KOA),浜松中郡(NG),磐田市中泉(IWN),掛川市徳泉(KAT)の水温変化(1日平均値)(2013年6月~2020年8月11日まで)の地下水温変化
図2 浜松中郡(NG)の2017年1月から2020年8月5日までの地下水温変化(1日平均値)
図3 静岡県西部地域の地震累積回数(2017年1月~2020年8月5日まで M1以上 深さ20-25km)と地震活動が活発化し始めた日
図の作成には東大地震研究所TSEISweb版の気象庁データ.JMA­­_PDEを使用した