3:00 PM - 3:15 PM
[S15-08] A sample generation of scenario earthquake shaking maps via modal decomposition and empirical copula
背景:震源シナリオの不確定性による地震ハザード評価におけるばらつきの定量化のためには、多数のシナリオに基づくシミュレーションを実行して、標本データとしての計算結果を蓄積することが重要である。しかしながら、ひとつのシナリオに対する地震波動伝播シミュレーションを実行するためにはスパコンのような大きなリソースが必要であり、標本データとしての計算結果を蓄積することは容易ではない。本報告では、既にあるシナリオ地震動予測結果を利用して、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果を簡便に生成する方法を提案する。
提案手法と関連研究:提案手法の一つ目のポイントは、既に蓄積されている標本データとしての計算結果にモード分解を施すことによって、計算結果の観測点依存成分であるモードシェイプとシナリオ依存成分であるモード座標を抽出することである。シナリオとそのモード座標を同一視することによって、あるシナリオと別のシナリオを補間することが可能となる。提案手法では、この補間によってシナリオ地震動予測地図のサンプルを生成する。一方、シナリオには不確かさが含まれており、地震動予測のシナリオ依存成分であるモード座標は確率変数と見なすことができる。シナリオの補間によって地震動予測の候補を生成するとき、この確率分布に従ってサンプリングしなければ、地震ハザード評価を歪める可能性がある。提案手法の二つ目のポイントは、モード座標が誘導する確率分布に従ってシナリオの補間の頻度を設定することである。シナリオ地震動予測結果のモード分解を実施している先行研究として、能島・他(2018)がある。能島・他(2018)では、シナリオ地震動予測地図の地震動分布の空間相関の特性を明らかにすることを目的としてモード分解を適用する方法が提案されている。一方、我々の提案手法は能島らの方法の延長線上に位置づけられるが、地震動分布の不確かさの確率分布に着目するところに特徴がある。我々の動機は、これまでに蓄積された地震動予測結果を利用しつつ、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果を簡便に生成して地震ハザード評価に適用することである。従って、まだ設定されていないシナリオに対する結果を生成するだけでなく、その発生頻度を説明できるような方法を提案することが目的である。
方法:地震動予測地図の面的分布をデータ行列として格納する。即ち、データ行列の縦方向を観測点、横方向をシナリオとして、各シナリオの各観測点における地震動強さを要素とする行列を考える。データ行列の固有直交分解を考えることによって、データ行列の各列ベクトルを主要なモードシェイプベクトルで展開することができる。このときの展開係数を並べたものがモード座標ベクトルである。モード座標はシナリオ依存成分を表していることから、確率変数とみなすことができる。モード座標を確率変数とみなす場合、シナリオの不確かさが地震動強さ分布に及ぼす影響の確率的な特徴はモード座標の確率分布に反映されると考えられる。とくに、シナリオの影響の頻度が周辺分布に反映されるだけでなく、異なるモード同士の確率的な依存関係が同時分布に反映されると考えられる。従って、確率変数とみなしたモード座標の同時分布を検討する必要があると考えられる。各モードのモード座標とその周辺累積分布関数の合成関数は一様分布に従う確率変数を定める。コピュラとは、この一様分布に従う確率変数ベクトルの同時累積分布関数のことである。大雑把に述べるならば、コピュラとは、モード毎の確率的な特徴を周辺累積分布関数に押し付けて、異なるモード同士の確率的な依存関係のみを表現するものと言える。本報告では、経験コピュラを採用することとした。
計算結果:先ず、せん断食い違い型点震源のラディエーションパターンのモード分解を実施して、本提案手法が多数のシナリオ結果に通底する特徴を抽出する能力があることが示された。更に、各モードのモード座標は独立ではなく、特定の依存関係があることが確認された。換言すれば、モード座標を生成する場合に然るべき依存関係を満足するようにサンプリングしなければ、たとえ無相関なサンプリングをしても、現実には存在し得ない結果を生成してしまったり、存在し得たとしても発生頻度を歪めたりする可能性があることを示唆している。次に、実際のシナリオ地震動予測地図に対してモード分解を適用して、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果を簡便に生成できることを示した。更に、生成する地震動予測結果にバリエーションを与える方法を試みた。コピュラを評価することによって、各モード個別の確率的な性質とモード間の依存関係を独立に議論することができ、モード間の依存関係を調節することで地震動予測結果のバリエーションを制御することができた。
提案手法と関連研究:提案手法の一つ目のポイントは、既に蓄積されている標本データとしての計算結果にモード分解を施すことによって、計算結果の観測点依存成分であるモードシェイプとシナリオ依存成分であるモード座標を抽出することである。シナリオとそのモード座標を同一視することによって、あるシナリオと別のシナリオを補間することが可能となる。提案手法では、この補間によってシナリオ地震動予測地図のサンプルを生成する。一方、シナリオには不確かさが含まれており、地震動予測のシナリオ依存成分であるモード座標は確率変数と見なすことができる。シナリオの補間によって地震動予測の候補を生成するとき、この確率分布に従ってサンプリングしなければ、地震ハザード評価を歪める可能性がある。提案手法の二つ目のポイントは、モード座標が誘導する確率分布に従ってシナリオの補間の頻度を設定することである。シナリオ地震動予測結果のモード分解を実施している先行研究として、能島・他(2018)がある。能島・他(2018)では、シナリオ地震動予測地図の地震動分布の空間相関の特性を明らかにすることを目的としてモード分解を適用する方法が提案されている。一方、我々の提案手法は能島らの方法の延長線上に位置づけられるが、地震動分布の不確かさの確率分布に着目するところに特徴がある。我々の動機は、これまでに蓄積された地震動予測結果を利用しつつ、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果を簡便に生成して地震ハザード評価に適用することである。従って、まだ設定されていないシナリオに対する結果を生成するだけでなく、その発生頻度を説明できるような方法を提案することが目的である。
方法:地震動予測地図の面的分布をデータ行列として格納する。即ち、データ行列の縦方向を観測点、横方向をシナリオとして、各シナリオの各観測点における地震動強さを要素とする行列を考える。データ行列の固有直交分解を考えることによって、データ行列の各列ベクトルを主要なモードシェイプベクトルで展開することができる。このときの展開係数を並べたものがモード座標ベクトルである。モード座標はシナリオ依存成分を表していることから、確率変数とみなすことができる。モード座標を確率変数とみなす場合、シナリオの不確かさが地震動強さ分布に及ぼす影響の確率的な特徴はモード座標の確率分布に反映されると考えられる。とくに、シナリオの影響の頻度が周辺分布に反映されるだけでなく、異なるモード同士の確率的な依存関係が同時分布に反映されると考えられる。従って、確率変数とみなしたモード座標の同時分布を検討する必要があると考えられる。各モードのモード座標とその周辺累積分布関数の合成関数は一様分布に従う確率変数を定める。コピュラとは、この一様分布に従う確率変数ベクトルの同時累積分布関数のことである。大雑把に述べるならば、コピュラとは、モード毎の確率的な特徴を周辺累積分布関数に押し付けて、異なるモード同士の確率的な依存関係のみを表現するものと言える。本報告では、経験コピュラを採用することとした。
計算結果:先ず、せん断食い違い型点震源のラディエーションパターンのモード分解を実施して、本提案手法が多数のシナリオ結果に通底する特徴を抽出する能力があることが示された。更に、各モードのモード座標は独立ではなく、特定の依存関係があることが確認された。換言すれば、モード座標を生成する場合に然るべき依存関係を満足するようにサンプリングしなければ、たとえ無相関なサンプリングをしても、現実には存在し得ない結果を生成してしまったり、存在し得たとしても発生頻度を歪めたりする可能性があることを示唆している。次に、実際のシナリオ地震動予測地図に対してモード分解を適用して、まだ設定されていないシナリオに対する地震動予測結果を簡便に生成できることを示した。更に、生成する地震動予測結果にバリエーションを与える方法を試みた。コピュラを評価することによって、各モード個別の確率的な性質とモード間の依存関係を独立に議論することができ、モード間の依存関係を調節することで地震動予測結果のバリエーションを制御することができた。