11:45 〜 12:00
[S16-03] 高密度リニアアレイ微動記録の相互相関関数による空間速度変化検出の試み
微動を用いたサイト特性や地下構造の推定は古くから行われてきた。微動アレイはS波速度構造モデルの推定に用いられており(Okada, 2003)、H/Vは地盤の卓越周期の推定(野越・五十嵐, 1971)や、2次元のコンターマップにより卓越周期の空間変化を推定することに用いられている(時松ほか, 1997)。近年では微動の連続観測によるモニタリングによって速度構造の時間変化の検出に用いられはじめている(Wegler et al., 2009)。モニタリングにおいては、微動の相関関数のわずかな変化を定量的に捉えるためにStretching法(Sens-Schonfelder and Wegler, 2006)が多く用いられている。モニタリングは年単位の膨大なデータを利用してその変化を観察しているが、もし空間方向にも同様に多くのデータが得られれば、同じ手法によって速度構造の微細な空間変化を捉えられるのではないかと考えた。
そこで、空間的に多くの微動データを得るために複数のセンサーによる微動アレイ計測を測線上で高密度に実施した。千葉県成田市において、100mの各測線に8個のセンサーJEP6A3-10を12.5m間隔で設置し15-20分の同時測定を行った。南北方向に総長4kmの測線において、39のリニアアレイにより312点の微動が得られた。微動は測線に沿ってトランスバース方向とラディアル方向の水平2成分と上下成分を計測した。なお、測線南端から3.1kmのリニア微動アレイにおいては1時間の測定を行なっており、この観測点をStretching法のためのリファレンスとする。
得られた微動記録は、まず、各センサーにより計測された単点微動の解析によりH/Vを推定してそのコンターマップを作成することで、測線上の卓越周期の空間変化を推定した。H/Vには共通して周波数0.2Hzにピークが認められ、深部地盤によるものと考えられるが、その空間変化はほとんど見られなかった。一方で、周波数1-10Hzにもピークが見られるが、この空間変化は著しい。
Stretching法による速度変化の検出は、微動の自己相関や相互相関、単点相互相関に対して行われる。そこで、12.5m間隔で設置したリニア微動アレイの隣り合う観測点同士の相互相関関数を推定した。上下方向の関数を周波数1-4Hzでフィルタ処理をした。遅れ時間0秒付近で振幅が大きくなっているが、これは微動の相互相関関数によくみられる現象であり、細心の処理により取り除くこともできるが、このように共通して現れていることから速度変化の検出には影響しないと考え、ここでは無視する。注目されたいのは2つ目のピークであり、測線中央では1秒に現れ、測線北部では0.5秒程度と速い。リファレンス地点ではさらに速い。測線南部は変化が著しく、これはH/Vにも見られていることから、速度構造の変化も著しいことが示唆される。
Stretching法によりリファレンス観測点における関数に対して各関数の速度変化率を測定して検出された空間速度変化は、測線北端で25%を超え、測線中央では50%に達した。リファレンス関数との相関係数は、測線中央から北部にかけて高く、検出された変化の品質が確保されていることもわかる。
そこで、空間的に多くの微動データを得るために複数のセンサーによる微動アレイ計測を測線上で高密度に実施した。千葉県成田市において、100mの各測線に8個のセンサーJEP6A3-10を12.5m間隔で設置し15-20分の同時測定を行った。南北方向に総長4kmの測線において、39のリニアアレイにより312点の微動が得られた。微動は測線に沿ってトランスバース方向とラディアル方向の水平2成分と上下成分を計測した。なお、測線南端から3.1kmのリニア微動アレイにおいては1時間の測定を行なっており、この観測点をStretching法のためのリファレンスとする。
得られた微動記録は、まず、各センサーにより計測された単点微動の解析によりH/Vを推定してそのコンターマップを作成することで、測線上の卓越周期の空間変化を推定した。H/Vには共通して周波数0.2Hzにピークが認められ、深部地盤によるものと考えられるが、その空間変化はほとんど見られなかった。一方で、周波数1-10Hzにもピークが見られるが、この空間変化は著しい。
Stretching法による速度変化の検出は、微動の自己相関や相互相関、単点相互相関に対して行われる。そこで、12.5m間隔で設置したリニア微動アレイの隣り合う観測点同士の相互相関関数を推定した。上下方向の関数を周波数1-4Hzでフィルタ処理をした。遅れ時間0秒付近で振幅が大きくなっているが、これは微動の相互相関関数によくみられる現象であり、細心の処理により取り除くこともできるが、このように共通して現れていることから速度変化の検出には影響しないと考え、ここでは無視する。注目されたいのは2つ目のピークであり、測線中央では1秒に現れ、測線北部では0.5秒程度と速い。リファレンス地点ではさらに速い。測線南部は変化が著しく、これはH/Vにも見られていることから、速度構造の変化も著しいことが示唆される。
Stretching法によりリファレンス観測点における関数に対して各関数の速度変化率を測定して検出された空間速度変化は、測線北端で25%を超え、測線中央では50%に達した。リファレンス関数との相関係数は、測線中央から北部にかけて高く、検出された変化の品質が確保されていることもわかる。