4:30 PM - 4:40 PM
[S16P-07] Estimation of Subsurface Structure and Ground Motion Characteristics in the Landslide Areas Derived from Microtremor Observation - Case of Ikutahara, Engaru-cho, Monbetsu-gun, Hokkaido -
近年,地震による地すべりによって大規模な被害が生じている.地すべりは過去の活動履歴より,繰り返し同じ場所で発生することが多く,地すべり地域の地盤震動特性の把握は重要である.地すべり地域の地盤の状態を知る手段として,微動探査を用いた評価がこれまで数多く行われている(たとえば島,1981).これはすべり面上部の堆積物は非常に柔らかく,速度コントラストが明瞭である可能性が高いためである.本研究では古期地すべり地形が確認されている北海道紋別郡遠軽町の生田原公園にて微動観測を行い,地すべり堆積物をどの程度評価できるのかを検討した.
生田原公園は地すべり防止区域に指定されており,地質図から地山は砕屑岩及び火山砕屑岩であること,ボーリングデータから風化岩の上に砂,シルト,泥を含む地すべり堆積物が8-15m程度存在することが分かっている.観測は2019/9/24,25の日中に実施した.3成分単点観測を観測時間10分程度として42点で行った.アレイ観測は地震計を円の中心に1台,円周上に3台が正三角形になるように4台配置し,アレイ半径は1-80mの範囲で,5地点で実施した.観測には加速度地震計JU410を4台,およびセンサに速度計ジオフォン(UD成分のみ観測,固有周波数4.5Hz)4台とデータロガーに分解能27bitのHKS9700を用いた.サンプリング周波数はともに200Hzとした.
微動の3成分観測記録より,20.48秒を10区間以上選定し,3成分のフーリエスペクトルを算出,対数ウィンドウ(係数20)で平滑化し,水平動のスペクトルと上下動のスペクトルの比(H/V)を求めた.またボーリングデータのあるライン上で,麓の観測点を基準とする水平動のスペクトル比(H/H)を求めた.アレイ観測記録は,CCA法(Cho et. al.,2006)によりセグメント長10.24秒,Parzenウィンドウ(バンド幅0.3Hz)でスペクトルを平滑化し,位相速度分散曲線を求めた.位相速度分散曲線とH/Vを用いて,レイリー波基本モードを仮定して,試行錯誤で地盤構造モデルを推定した.
解析の結果,山麓の平坦な場所ではH/Vスペクトルのピークが明瞭な点が多く,卓越周期が0.1-0.3秒であった.地すべり堆積物が確認されている場所のH/Vはフラットな形状であり,ピーク値が2.0を下回る点が多く,卓越周期が不鮮明である傾向がみられた.H/H比から各ラインでピークのある周期帯が異なっており,近傍の観測点でスペクトルの形状が多様であることがわかった.アレイ観測より表層にVs=130-200m/sの低速度層がみられ,これが地すべり堆積物に相当すると考えられる.一部の観測点において,山間部で微動の振幅レベルが小さいことから明瞭な位相速度が推定できなかった.今後は人工的に振源を与えるなど,観測方法を工夫して実施する予定である.
本研究は日本学術振興会科研費18H01523の助成を受けたものです.
生田原公園は地すべり防止区域に指定されており,地質図から地山は砕屑岩及び火山砕屑岩であること,ボーリングデータから風化岩の上に砂,シルト,泥を含む地すべり堆積物が8-15m程度存在することが分かっている.観測は2019/9/24,25の日中に実施した.3成分単点観測を観測時間10分程度として42点で行った.アレイ観測は地震計を円の中心に1台,円周上に3台が正三角形になるように4台配置し,アレイ半径は1-80mの範囲で,5地点で実施した.観測には加速度地震計JU410を4台,およびセンサに速度計ジオフォン(UD成分のみ観測,固有周波数4.5Hz)4台とデータロガーに分解能27bitのHKS9700を用いた.サンプリング周波数はともに200Hzとした.
微動の3成分観測記録より,20.48秒を10区間以上選定し,3成分のフーリエスペクトルを算出,対数ウィンドウ(係数20)で平滑化し,水平動のスペクトルと上下動のスペクトルの比(H/V)を求めた.またボーリングデータのあるライン上で,麓の観測点を基準とする水平動のスペクトル比(H/H)を求めた.アレイ観測記録は,CCA法(Cho et. al.,2006)によりセグメント長10.24秒,Parzenウィンドウ(バンド幅0.3Hz)でスペクトルを平滑化し,位相速度分散曲線を求めた.位相速度分散曲線とH/Vを用いて,レイリー波基本モードを仮定して,試行錯誤で地盤構造モデルを推定した.
解析の結果,山麓の平坦な場所ではH/Vスペクトルのピークが明瞭な点が多く,卓越周期が0.1-0.3秒であった.地すべり堆積物が確認されている場所のH/Vはフラットな形状であり,ピーク値が2.0を下回る点が多く,卓越周期が不鮮明である傾向がみられた.H/H比から各ラインでピークのある周期帯が異なっており,近傍の観測点でスペクトルの形状が多様であることがわかった.アレイ観測より表層にVs=130-200m/sの低速度層がみられ,これが地すべり堆積物に相当すると考えられる.一部の観測点において,山間部で微動の振幅レベルが小さいことから明瞭な位相速度が推定できなかった.今後は人工的に振源を与えるなど,観測方法を工夫して実施する予定である.
本研究は日本学術振興会科研費18H01523の助成を受けたものです.