日本地震学会2020年度秋季大会

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Room D

Special session » S22. Geodyanamics of the Ryukyu arc

[S22]PM-1

Sat. Oct 31, 2020 1:00 PM - 2:15 PM ROOM D

chairperson:Mamoru Nakamura(Ryukyu University)

1:00 PM - 1:15 PM

[S22-05] Pattern of occurrence interval and spatial distribution of similar earthquakes in the northern Ryukyu Trench subduction zone obtained from ocean bottom seismic observation

〇Yukihiro Nakatani1, Hiroshi Yakiwara1, Shuichiro Hirano1, Shigeru Nakao1, Hiroki Miyamachi2, Reiji Kobayashi2, Yusuke Yamashita3, Hiroshi Shimizu4, Takeshi Matsushima4, Kazunari Uchida4, Kazuo Nakahigashi5, Hideji Abe7, Tomoaki Yamada6, Masanao Shinohara7 (1.NOEV, Kagoshima Univ., 2.Grad. School of Sci. and Eng., Kagoshima Univ., 3.DPRI, Kyoto Univ., 4.SEVO, Kyushu Univ., 5.Tokyo Univ. of Marine Sci. and Tech., 6.JMA, 7.ERI, UTokyo)

南西諸島海溝のプレート境界面上では,プレート沈み込みに伴う通常の地震に加え,低周波微動や短期的SSEといったスロー地震も発生しており,他の沈み込み帯と同様に両者の空間分布が議論されている.これまで,海溝軸から100 km以上離れた島嶼部が主な観測網であったため,隣接する南海トラフと比べても,地震とスロー地震の対応関係やプレート境界におけるすべり特性の理解は遅れていたが,近年において短期~中長期的な海底地震観測網の展開が進展しつつある.
 本研究チームは,トカラ列島東方海域において長期収録型海底地震計を用いた繰り返し海底地震観測を実施した.2014年に3台体制で開始した本観測は,2015年以降,6台の自己浮上型海底地震計を約1年周期で回収・設置を繰り返しながら継続し,2019年11月の回収をもって第一次観測を完了した.観測点間隔が約40–60 kmとやや疎であるが,観測空白域であった当該海域において,約5ヶ年にわたる準定常的な観測網を構築したのが特徴である.
 本研究では,2016年7月~2018年3月の上記観測データを用いて,プレート境界周辺で発生する波形のよく似た地震(相似地震)を,その発生間隔に応じて分類し,活動様式を議論した.相似地震の検出にはMatched-Filter法を採用し,6台の海底地震計および島嶼観測点の3成分連続波形データに適用した.テンプレート地震には,鹿児島大学南西島弧地震火山観測所が決定したマグニチュード3以上の地震を選択し,海底地震観測点の検測データを統合して震源再決定した.相似地震群は,発生間隔から次の3つの活動様式に分類された.群発地震型,小繰り返し地震型,そして両者の混合型である.本講演では,検出イベントとテンプレート地震の相対震源位置を評価した上で,微動分布や構造との空間関係について議論する.
 2019年4月からは観測点間隔20 km(計8台)のより稠密な第二次海底地震観測を開始し,2020年8月に一回目の回収・再設置を完了した.本講演では当該観測計画についても報告する.

謝辞:観測航海は,長崎大学水産学部附属練習船長崎丸の教育関係共同利用に基づき実施されました.本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」および「同計画(第2次)」の支援を受けました.また,東京大学地震研究所共同利用の援助を受けました.記して感謝いたします.