日本地震学会2020年度秋季大会

Presentation information

Poster session (Oct. 31th)

Special session » S22. Geodyanamics of the Ryukyu arc

S22P

Sat. Oct 31, 2020 4:00 PM - 5:30 PM ROOM P

4:00 PM - 5:30 PM

[S22P-04] Shallow low-frequency tremor activity off Kikai Island, northern Ryukyu Trench subduction zone

〇Yusuke Yamashita1, Yukihiro Nakatani2, Hiroshi Yakiwara2, Shuichiro Hirano2, Shigeru Nakao2, Hiroki Miyamachi3, Reiji Kobayashi3, Hiroshi Shimizu4, Takeshi Matsushima4, Kazunari Uchida4, Kazuo Nakahigashi5, Hideji Abe7, Tomoaki Yamada6, Masanao Shinohara7 (1.Miyazaki Observatory, DPRI, Kyoto Univ., 2.NOEV, Kagoshima Univ., 3.Grad. School of Sci. and Eng., Kagoshima Univ., 4.SEVO, Kyushu Univ., 5.Tokyo Univ. of Marine Sci. and Tech., 6.JMA, 7.ERI, Univ. of Tokyo)

南海トラフから南西につながる南西諸島海溝では,フィリピン海プレートの沈み込みに伴う活発な地震活動が昔からよく知られている.近年のGNSS観測や海底観測により,南西諸島海溝ではスロー地震活動も非常に活発であることが分かってきており,大局的には南西諸島海溝の北に接する日向灘から活動が連続しているように見えている.その一方で,細かく見ると海溝の走向方向の活動度に時空間的な変化が見られる事が明らかになりつつあり,陸域の観測網が脆弱な南西諸島海溝において,海底観測を継続的に実施する事はこの地域の様々なスケールにおける地震活動を知る上で必要不可欠である.
我々は,2019年4月より南西諸島海溝北部域の喜界島東方海域において,20 kmスパンの海底地震観測を開始した.この海域は,通常の地震活動が周囲に比べて低調な領域が広がっており,1911年喜界島沖の地震(M 8.0)の震源域に対応している可能性が指摘されている.一方,最近の観測からは,短期的スロースリップや浅部低周波微動活動が活発なことが明らかになってきており,巨大地震・通常の微小地震活動・スロー地震との関係について調査する格好のフィールドである.我々は,今後数年の間に,1年間の観測を複数回実施し,少しずつ観測点配置をずらして,地震活動が低調な領域とその周辺領域を覆う形で観測を実施することにしている.その上で,通常の地震と浅部低周波微動の時空間な関係を明らかにすることが大きな目的の1つである.
本研究で使用している海底地震計は8台で,すべて1 Hz のセンサーを搭載した東京大学地震研究所所有の長期観測型海底地震計である.8台の海底地震計は正六角形の各頂点と中心およびいずれからの頂点から20km離れた1点に位置している.1回目の観測は,本来2020年4月に回収予定であったが,COVID-19流行の影響を受け,2020年8月に回収を実施した.観測期間中には,陸上観測網より観測海域直下と考えられる浅部スロー地震活動があったことが確認されている.過去に実施した海底観測でも同じ機材を用いて観測を実施しており,浅部低周波微動そのものの観測には成功していたが,観測点間隔が30kmより広く,収録トラブル等の影響もあり,震源分布は十分な精度では得られていない.現在,8月に回収したデータの1次処理を進めており,今後,観測データの精査を進め,浅部低周波微動についてエンベロープ相関法による解析を行い,浅部微動の活動領域を明らかにする予定である.

謝辞:海底地震計の設置・回収は,長崎大学水産学部練習船・長崎丸の教育関係共同利用に基づく航海によって実施されました.また,本研究は文部科学省による「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」および東京大学地震研究所共同利用の支援を受けました.記して感謝申し上げます.