4:00 PM - 5:30 PM
[S24P-05] Development of neural network to locate hypocenter with theoretical seismograms of time series as learning data
我々は、昨年の地震学会秋季大会において、現実的な3次元地球モデルを用いた理論地震波形記録を教師データとして機械学習を行うことにより、震源パラメータの推定を行うニューラルネットワークを構築する試みを日本列島規模の観測網に適用した例について報告した。
前回の発表では、日本列島規模の領域について、陸上の観測点を想定した理論地震波形記録に基づく地表の変位分布画像を用いて、機械学習によりニューラルネットワークを構築することを試み、観測点分布が偏った場合でも震源パラメータの推定を行うことが可能であることを示した。また、変位分布画像の時系列を教師データとした3DCNNの適用についても検討したが、学習時間がかかるために、変位分布画像のみを用いた場合との比較で精度の向上が図れるかについては十分な比較ができなかった。今回、我々はこの3DCNNを用いた震源パラメータ推定の結果について報告し、十分な精度を得られることを示す。
理論地震波形記録は、前回と同様にスペクトル要素法のSPECFEM3D_GLOBE (https://geodynamics.org/cig/software/specfem3d_globe/)を用い、256コアを使って1 chunkを用いて計算した。モデルの精度を表すパラメータであるNEXは256で、用いた3次元地球モデルはS20RTS、精度は周期17秒である。2分間の理論地震波形を約4200個の地震に対して計算し、約300万枚の地震波伝播画像を生成した。
生成した画像を基に、震源パラメータを推定するニューラルネットワークの構築を試みた。ニューラルネットワークは深層学習でよく使われるConvolutional Neural Network (CNN)を3次元に拡張した3DCNNで、convolutionは3層とし、0.2秒毎の画像20枚、すなわち4秒間の時系列から,各パラメータを推定するネットワークを機械学習により生成した。画像の例とネットワーク構成を図1に示した。ニューラルネットワークのフレームワークはTensorFlow (https://github.com/tensorflow)を用いた。機械学習は画像の4/5を用い、学習のパラメータ設定を海洋研究開発機構・地球情報基盤センターが運用するDAシステムのGPGPUノードを使用して行った。学習にあたっては教師データをすべてメモリに格納することで、5個の震源パラメータの各120エポック分の学習を78GPU時間で終了することが出来た。学習により構築したニューラルネットワークに対して残り1/5の地震を用いて検証を行った。検証結果は推定した緯度と経度の誤差の標準偏差がそれぞれ0.05°と0.11°であり、日本列島規模の陸上観測点分布による地表の変位分布画像の時系列データを教師データとして、震源パラメータを推定するニューラルネットワークを構築することが可能であることが分かった。
また、我々は、理論地震記録の時系列を含めた学習を発展させるため、時系列に並べた空間伝搬データのそれぞれの前後ステップの動き特徴をベクトル特徴量として抽出することを試みた。動きの特徴の抽出にはOpticalFlowを用い、計算アルゴリズムにはGunnar-Farneback法 Farneback, et al.(2003)を採用した。計算時の詳細なパラメータについては発表の際に報告する。時系列に並べた空間伝搬データに適用して計算を行うことで、その地震波の空間伝搬のベクトル特徴量(図2)が得られる。このようなベクトル特徴量を解析し、地震波への適用可能性や学習モデルへの組み込みの可能性など検討した結果について報告する。
謝辞
本研究は科研費19K12011の助成を受けたものです。この研究では海洋研究開発機構・地球情報基盤センターの計算機システムを用いました。記して感謝いたします。
前回の発表では、日本列島規模の領域について、陸上の観測点を想定した理論地震波形記録に基づく地表の変位分布画像を用いて、機械学習によりニューラルネットワークを構築することを試み、観測点分布が偏った場合でも震源パラメータの推定を行うことが可能であることを示した。また、変位分布画像の時系列を教師データとした3DCNNの適用についても検討したが、学習時間がかかるために、変位分布画像のみを用いた場合との比較で精度の向上が図れるかについては十分な比較ができなかった。今回、我々はこの3DCNNを用いた震源パラメータ推定の結果について報告し、十分な精度を得られることを示す。
理論地震波形記録は、前回と同様にスペクトル要素法のSPECFEM3D_GLOBE (https://geodynamics.org/cig/software/specfem3d_globe/)を用い、256コアを使って1 chunkを用いて計算した。モデルの精度を表すパラメータであるNEXは256で、用いた3次元地球モデルはS20RTS、精度は周期17秒である。2分間の理論地震波形を約4200個の地震に対して計算し、約300万枚の地震波伝播画像を生成した。
生成した画像を基に、震源パラメータを推定するニューラルネットワークの構築を試みた。ニューラルネットワークは深層学習でよく使われるConvolutional Neural Network (CNN)を3次元に拡張した3DCNNで、convolutionは3層とし、0.2秒毎の画像20枚、すなわち4秒間の時系列から,各パラメータを推定するネットワークを機械学習により生成した。画像の例とネットワーク構成を図1に示した。ニューラルネットワークのフレームワークはTensorFlow (https://github.com/tensorflow)を用いた。機械学習は画像の4/5を用い、学習のパラメータ設定を海洋研究開発機構・地球情報基盤センターが運用するDAシステムのGPGPUノードを使用して行った。学習にあたっては教師データをすべてメモリに格納することで、5個の震源パラメータの各120エポック分の学習を78GPU時間で終了することが出来た。学習により構築したニューラルネットワークに対して残り1/5の地震を用いて検証を行った。検証結果は推定した緯度と経度の誤差の標準偏差がそれぞれ0.05°と0.11°であり、日本列島規模の陸上観測点分布による地表の変位分布画像の時系列データを教師データとして、震源パラメータを推定するニューラルネットワークを構築することが可能であることが分かった。
また、我々は、理論地震記録の時系列を含めた学習を発展させるため、時系列に並べた空間伝搬データのそれぞれの前後ステップの動き特徴をベクトル特徴量として抽出することを試みた。動きの特徴の抽出にはOpticalFlowを用い、計算アルゴリズムにはGunnar-Farneback法 Farneback, et al.(2003)を採用した。計算時の詳細なパラメータについては発表の際に報告する。時系列に並べた空間伝搬データに適用して計算を行うことで、その地震波の空間伝搬のベクトル特徴量(図2)が得られる。このようなベクトル特徴量を解析し、地震波への適用可能性や学習モデルへの組み込みの可能性など検討した結果について報告する。
謝辞
本研究は科研費19K12011の助成を受けたものです。この研究では海洋研究開発機構・地球情報基盤センターの計算機システムを用いました。記して感謝いたします。