The 2021 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Oct. 14th)

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

P

Thu. Oct 14, 2021 3:30 PM - 5:00 PM ROOM P5 (ROOM P)

3:30 PM - 5:00 PM

[S15P-07] Re-examination of scaling relationships of source parameters of the interplate earthquakes in Japan

〇Ken MIYAKOSHI1, Yujia GUO1, Kunikazu YOSHIDA1, Kiyoshi IRIE2 (1.Geo-Research Institute, 2.Ohsaki Research Institute, Inc.)

プレート間地震の震源スケーリング則として地震本部(2020)は,例えば佐藤(1989) や宇津(2001)などを挙げている.一方,Murotani et al. (2008, 2013)や田島他(2013)は,主に震源インバージョン解析による不均質すべり分布モデルに基づいた震源スケーリング則を提案している.佐藤(1989) と宇津(2001)は1498~1994年に国内で発生した地震(Mw6~8クラス),Murotani et al. (2008, 2013)と田島他(2013)は1923~2011年に国内外で発生した地震(Mw6~9クラス)を対象にしている.これらの震源スケーリング則は震源断層面積に対して地震モーメントの2/3乗の比例関係(Mw<8.4)を仮定している.なお,田島他(2013)は断層幅の飽和(200km弱)を指摘し,Mw8.4以上の地震の震源断層面積は地震モーメントの1/2乗の比例関係となることを提案している.ところで,これらの震源スケーリング則はMw8.4以下で同じ傾き(2/3乗)を仮定しているにもかかわらず,宇津(2001)とMurotani et al. (2008)のy切片は異なる.すなわち,同じ地震モーメントに対して前者の震源断層面積は後者に対して約0.6倍と小さい.このような震源スケーリング則の差異は用いているデータセットの違い(例えば,解析手法や国内外の地震)が考えられることから,本検討では国内のプレート間地震(Mw6.7~9.0)に限って震源スケーリング則の再検討を行う.
 震源スケーリング則を検討する上で,同質なデータセットを用いることは重要であり,Somerville et al. (1999)は断層全体の平均すべり量の0.3倍未満となる断層端部をトリミング操作して,それ以上のすべりを持つ領域を震源断層と規定する規範を提案している.本検討ではSomerville et al. (1999)の規範あるいはそれと同等な規範を用いた国内のプレート間地震のデータセットを収集・整理した.Somerville et al. (1999)の規範を用いた地震のデータセットとして①Somerville et al. (2002; SM2002), ②Murotani et al. (2008; MU2008), ③田島他(2013; TJ2013), ④Skarlatoudis et al. (2016; SK2016)がある.ただし,同じ規範を用いているにもかかわらず,SK2016についてはMU2008と同じ地震の一部で同程度の震源断層面積が得られていなかった.この原因は不明であるが,本検討ではこのようなデータは用いなかった.また,⑤Thingbaijam et al. (2017; TH2017)のデータセットはSomerville et al. (1999)とは異なるThingbaijam and Mai (2016)の規範でトリミングしたものを用いているが,宮腰他(2018)は同じ地震を対象に両者の規範によってトリミングされた震源断層面積は同程度となることを確認している.一方,⑥Allen and Hayes (2017; AH2017)は独自のトリミング手法によって震源断層面積を抽出しているが,同じ地震を対象にTH2017と比較した結果,AH2017はTH2017に比べてMw8程度以下で系統的に小さいことが認められた.本検討では同質なデータセットを用いることを重視し,①SM2002, ②MU2008, ③TJ2013, ④SK2016の一部,⑤TH2017の計5つのデータセットを用いた.なお,異なるデータセット間で同一研究者によるインバージョンモデルを持つ地震も複数存在するが,ここでは,それらを区別していない.
 以上の国内のプレート間地震を対象に収集・整理した5つのデータセットと宇津(2001) ,Murotani et al. (2008) 及び田島他(2013)が提案する震源スケーリング則を比較した.その結果,Mw6.7~8.4の地震データセットに対し,宇津(2001)に比べてMurotani et al. (2008)の震源スケーリング則の方が整合的であった.一方,Mw8.4以上の地震データセットは少なく,宇津(2001)及び田島他(2013)のスケーリング則の整合性の検討は困難であった.ここまでは暫定的な結果であり,今後は,データセットと震源スケーリング則の差について定量的な評価を行うとともに,他の震源パラメータ(断層幅や長さ等)についても検討を進める予定である.
謝辞:本研究は原子力規制庁による令和3年度原子力施設等防災対策等委託費(海溝型地震の特性化震源モデルに係る検討)事業の一環として実施されています.