The 2022 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Room C

Regular session » S02. Seismometry and monitoring system

[S02] PM-1

Wed. Oct 26, 2022 1:30 PM - 2:45 PM ROOM C (8th floor (Training Room 820))

chairperson:Masayuki Yoshimi(The National Institute of Advanced Industrial Science and Technology), Masayuki Obayashi(JAMSTEC)

1:45 PM - 2:00 PM

[S02-02] Study on the underwater acoustic signals associated with the eruption at Fukutoku-Oka-No-Ba observed with the OBSs of S-net

*Ryoichi IWASE1 (1. JAMSTEC)

岩瀬(2022)では,2021年8月13日に福徳岡ノ場において発生した海底火山噴火,及び2022年1月15日にフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ(フンガ火山)で発生した海底火山噴火について,防災科学技術研究所の「日本海溝海底地震津波観測網」(S-net)を構成する海底地震計の観測波形を用い,深海サウンドチャネル(Sound Fixing and Ranging,SOFARチャネル)を伝搬した噴火に伴う水中音響信号を検出した.具体的には,噴火地点からS-net各観測点までの音波の伝搬時間を考慮して,時間軸を観測点毎にずらして描画したスペクトログラムを比較することにより,視覚的に噴火に伴う水中音響信号を識別した. 今回,この識別結果をもとにして,福徳岡ノ場噴火に伴う水中音響信号について考察を加えた. 使用したデータは岩瀬(2022)と同じく,S-netの各観測点を構成する2種類の地震計のうち速度計を使用し,もう一方の地震計である加速度計で計測される重力の方向をもとに鉛直成分を算出した波形データであり,サンプリング周波数は100 Hzである.元の波形データには地震に伴う信号や船舶ノイズ等が多数含まれているが,スペクトログラムを参照すると,噴火に伴う信号が有する周波数成分の検出下限は,観測点によって相違があるものの,およそ5 Hz程度と判断される.一方,ノイズ状況も観測点によって相違があるものの,10Hz以下ではノイズレベルが比較的低い状況となっている.そこで今回5Hzから10 Hzまでの周波数帯域を透過するバンドパス・フィルタの適用を試みた.当該フィルタ適用後の波形に対して観測点毎に時間軸を伝搬時間分ずらし,更にそれを伝搬距離順に並べた結果をFig.1に示す.なお伝搬時間は伝搬距離(大円距離)を音速(1500 m/s)で割って求めた.横軸は各観測点で検出した信号の音源での発出時刻に相当する.縦軸は伝搬距離(km)である.なお波形を表示した観測点は噴火に伴う信号を検出した44観測点のみを選択している. SOFARチャネルを音速で伝搬した噴火に伴う信号は横軸の同じ位置に出現するので,噴火イベントとして識別可能となる.Fig. 1は2021年8月13日05:00 JSTから1時間の記録である.下向き三角印で示した05:57頃にパルス形状の波形が存在するが,それに先立つ05:55頃からのイベント発生が確認できる.Fig. 2は.05:56 JSTからの2分間の波形を拡大したものであるが,イベント波形の出現位置がやや傾いていることがわかる.そこで,音速を1472 m/sとして描画したものをFig. 3に示す.Fig. 2に比べ,イベント波形の出現位置が揃っていることがわかる.そこで音速を同じく1472 m/sとして,05:54 JSTからの5分間の波形をFig. 4に示す.05:55 JSTの少し前からの噴火活動の開始が推定される. 今後フンガ火山の噴火に伴う信号についても同様な解析を行う予定である.

謝辞
本研究の実施に際し防災科学技術研究所の公開データ(https://doi.org/10.17598/NIED.0007)を利用しました.伝搬距離の計算には国土地理院のサイト(https://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/surveycalc/surveycalc/bl2stf.html)を利用しました.

参考文献
岩瀬(2022),JpGU2022,SVC31-21.