The 2022 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (2nd Day)

Regular session » S06. Crustal structure

[S06P] PM-P

Tue. Oct 25, 2022 2:00 PM - 5:30 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

2:00 PM - 5:30 PM

[S06P-04] Relationship between seismic activity and low-frequency earthquakes at Northern Tohoku and Southwestern Hokkaido using local seismic network, AS-net

*Shinako NOGUCHI1 (1. Association for the Development of Earthquake Prediction Research Division for Earthquakes and Disaster Mitigation)

地震予知総合研究振興会(以下,振興会)では,従来の地震観測網が疎であった東北地方北部から北海道南西部にかけて36点からなる地域地震観測網AS-netを整備し,2014年から当該地域の地震活動について震源決定を行ってきた(野口・他,2016).本発表では,2014-2020年の震源決定により蓄積された検測値を用いたトモグラフィ解析による地下構造推定結果と,低周波地震を含む地域の地震活動との関連について述べる.
トモグラフィ解析では,二重走時差トモグラフィ法(Double Difference tomography, Zhang and Thurber (2003))を用いる.この手法で用いるP波およびS波の走時情報については,振興会の震源決定による検測値と,気象庁一元化震源の検測値を用いる.両者に含まれる観測点は合計165点となる.観測点振興会については2014-2020年の3,514地震,一元化震源については2000-2013年の4,832地震の読み取り値を使用する.これらによるP検測値は合わせて365,324,S検測値は同312,652となる.なお,振興会の震源決定対象領域は陸域下の狭い範囲なので,一元化震源は特に太平洋沖を含む広い範囲の地震を使用する.
解析の結果,推定された地下構造と,地殻内地震の分布や重力異常分布との関連がいくつかみられた.いくつかの地殻内地震活動は,地表付近の低速度異常領域とその下の領域の境界面からすぐ下に分布していた.また,浅部(深さ5 km)の速度異常分布は重力異常分布とよく対応しており,堆積層による走時遅れを反映していると考えられる.
また,対象地域にはいくつか低周波地震活動があり,八甲田山や岩木山など火山に関連するものの他,下風呂など非火山性のものもある.また,函館市鶴野付近の低周波地震活動は,浅部低周波地震も伴うなど注目されている(Yoshida et al., 2020).なお,本研究の対象領域に隣接(一部重複)する北海道南西部において,Shiina et al. (2018)はトモグラフィ解析を用いて地殻内地震と深部低周波地震の発生メカニズムを考察している.本発表でも,Shiina et al. (2018)の結果と比較しつつ,地下速度構造と低周波地震活動との関連に焦点を当てる予定である.

謝辞
本研究では,気象庁,防災科研,北海道大学,東北大学,弘前大学,青森県により観測・提供された地震観測データを使用しています.また,気象庁による一元化地震カタログのデータを使用しています.記して感謝いたします.

野口科子・関根秀太郎・澤田義博・笠原敬司・佐々木俊二・田澤芳博・矢島浩・石田貴美子,AS-netによる青森県・北海道南西部の震源分布,日本地震学会2016年度秋季大会,名古屋,2016年10月,S09-P16.
Shiina, T., Takahashi, H., Okada, T., & Matsuzawa, T. (2018). Implications of seismic velocity structure at the junction of Kuril-northeastern Japan arcs on active shallow seismicity and deep low-frequency earthquakes. Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 123, 8732– 8747. https://doi.org/10.1029/2018JB015467
Yoshida, K., A. Hasegawa, S. Noguchi, and K. Kasahara (2020). Low-frequency earthqukaes observed in close vicinity of repeating earthquakes in the brittle upper crust of Hakodate, Hokkaido, northern Japan, Geophysical Journal International, 223, 1724-1740. doi:10.1093/gji/ggaa418
Zhang, H., & Thurber, C. H. (2003). Double-difference tomography: The method and its application to the Hayward Fault, California. Bulletin of the Seismological Society of America, 93(5), 1875–1889. https://doi.org/10.1785/0120020190