日本地震学会2022年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(3日目)

一般セッション » S09. 地震活動とその物理

[S09P] AM-P

2022年10月26日(水) 09:30 〜 12:00 P-1会場 (10階(1010〜1070会議室))

09:30 〜 12:00

[S09P-07] 能登半島で発生している群発地震について

*勝間田 明男1、島 淳元1、西宮 隆仁2 (1. 富山大学、2. 気象研究所)

(1)はじめに
 能登半島の北部にある石川県珠洲市では,2018年6月頃から現在まで,群発地震が発生している.群発地震の震源の位置を地図上にプロットすると,4つの地震活動が活発な領域が認められる(図).本発表では,この地震の発生時系列の特徴や深さ分布などについて報告する.

(2)方法
 本研究を行う上で,一元化震源データを用いた.地震活動が活発な4つの領域の地震群の位置の精度を高めるために,DD法を用いて震源の再計算を行った.震源決定で用いたDD法の計算には,アメリカ地質調査所(USGS)が公開しているHypoDDプログラムを使用した.震源位置の計算に用いた速度構造データには,1次元速度構造と勝間田・西宮(2022)が求めた3次元速度構造の2つを使用した.

(3)結果
 4つの地震群の名称を平松(2022)を参考として,東クラスター,北クラスター,南クラスター,西クラスターとする.まず,地震活動の推移を調べるために,時系列図を作成すると,2018,19年に起きた地震は,ほとんど南クラスターで発生している.2021年2月頃から西クラスターで地震が起こり始め,2021年5月には北クラスター,6月には東クラスターで地震が発生し始めた.それ以降では,北,東の2つのクラスターで活発に地震が発生している.次に,クラスターごとに震源断面図を作成し,時間の推移と深さの関係を調べた.南クラスターに注目すると,2018,19年では深さ9~14km,2020年は8~11km,2021年1~7月は13~19km,それ以降は9~20kmと,時間と共に地震の発生場所が変わっている.他のクラスターでは,このような顕著な差異は見られないが,時期により活動場所が違う.
 上記の深さは,一元化速度構造モデルを用い,HypoDDで震源計算したデータである.速度構造モデルを3次元速度構造モデルを用いて計算すると,全体的に深さが2~4km浅くなる.具体的には,東,西クラスターで2km,北クラスターで2~3km,南クラスターで4km浅くなる.水平位置も速度構造によって違いは見られるものの,顕著なものではない.

謝辞
 本調査では,北海道大学,弘前大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,高知大学,九州大学,鹿児島大学,国立研究開発法人防災科学技術研究所,国立研究開発法人産業技術総合研究所,国土地理院,青森県,東京都,静岡県, 神奈川県温泉地学研究所,横浜市,国立研究開発法人海洋研究開発機構及び気象庁の地震データと,それを気象庁と文部科学省が協力してデータを処理した一元化震源を使用しました.