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[S15P-16] 2022年京都府南部を震源とする地震群による京都盆地西端の地震動特性
2022年の3月末から5月初めにかけて,京都府亀岡市北部付近を震源とするMJ4前後の地震が複数回発生し,そのうち2回の地震(いずれもMJ4.4)では最大震度4を観測した。京都府南部を震源とする地震で震度4以上を観測したのは,2014年8月6日に本地震群のやや西方で発生した地震(MJ4.2)以来である。本検討では,京都盆地西端に位置する関西地震観測研究協議会(関震協)の京都樫原(KTG)観測点と同協議会の管理点である京大桂(KTR)観測点を対象に,本地震群による地震動特性について分析した。KTG観測点が設置されている京都市西京区樫原蛸田町は,三方が天井川で囲まれた後背湿地を天井川の高さまで盛土して宅地化された地域であり,1995年兵庫県南部地震時には周辺地域と比較して木造建物に被害が集中した。一方,KTG観測点の西北西約1.5 kmに位置するKTR観測点は,硬質地盤上に建つ大規模建築物の中に設置されている。これまでに,両観測点で得られた観測記録から,KTG観測点の方がKTR観測点より揺れが大きい傾向があることが確認されている。本検討で,京都盆地周辺(対象地震群を除く)と最大で200 km程度離れた場所で発生した地震から,対象観測点を取り囲むように幾つか選定し,水平2成分と上下成分の速度時刻歴波形の最大値を両観測点で比較した結果,従来の知見通り,ほぼ全ての地震でKTG観測点の方がKTR観測点より大きい傾向を示すことが確認された。これらの観測記録のフーリエスペクトルを利用して比較した結果,広帯域に渡り,KTG観測点の方がKTR観測点より大きくなる傾向が見られた(例えば,図1(1),図1(2))。一方,対象地震群の観測記録の速度時刻歴波形の最大値は,東西成分は従来の知見通りKTG観測点の方が大きいが,南北成分と上下成分は,従来の知見に反し,KTR観測点と同程度かやや小さくなる傾向が見られた。これらの観測記録のフーリエスペクトルを利用して比較した結果,南北成分が3~6 Hzで,上下成分が3 Hz以上で,KTR観測点はKTG観測点と同等かそれ以上の大きさとなる傾向を有することが確認された(例えば,図1(3))。今後,KTG観測点とKTR観測点の近傍の観測点で得られている観測記録も利用しつつ,本検討で得られた結果の要因の特定を試みる予定である。