9:30 AM - 12:00 PM
[S16P-09] Basic study of ground amplification factor based on microtremor array observations at seismic stations.
防災科学技術研究所では、広帯域の強震動評価を行う事を目的として、関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデルを構築し、構築した地盤モデルによるAVS30や地盤増幅率(最大速度増幅率)を地震本部およびJ-SHISより2021年3月26日に公開されている。このモデルの作成では、関東地方全域において、約31万本のボーリングデータで初期モデルを作成し、低地・台地を基本として約1km間隔(3次メッシュ単位)で約14,000地点の解析結果に基づいて250mメッシュ間隔の地盤モデルが構築され、地盤増幅率の評価がなされている。関東地方およびその周辺地域における、K-NETおよびKiK-net等の地震観測点においては、微動アレイ観測も実施されており、地震観測記録と微動アレイのS波速度構造に基づく地震動応答計算による周期毎の増幅特性の検証もなされ(地震本部2017, 2021)、その結果、微動アレイ観測に基づいたS波速度構造の精度は非常に高いことが確認されている。現在の表層地盤モデルによる地盤増幅率の評価は、藤本・翠川(2006)で実施されているが、地盤増幅率に使用されているAVS30はK-NETやKiK-netのPS検層を基に計算されているものである。本研究では、地盤モデルによるAVS30による地盤増幅率の精度検証の一環として、微動アレイから得られるS波速度構造に基づくAVS30と地盤増幅率の関係を 評価し、今後において、微動アレイ観測が実施されていれば最適な地盤増幅率が評価できる事、新しい地盤増幅率の提案すること等を目的としている。本件等では、手始めに関東地方およびその周辺地域(山梨県・長野県・福島県等)を含むK-NET、KiK-netの海域および離島を除く全観測点(587地点)および自治体震度計(千葉県・茨城県を中心として130地点)、MeSO-net(293地点)の合計1010観測地点のベリーポイントにおいて、半径20m程度以下の中心点のない三角形・L字および半径60cmのそれぞれのアレイ探査を実施した。観測したほぼ全ての地点においてAVS30が評価可能な良好な結果を得ることが出来ている。AVS30の計算は長尾・紺野(2002)に基づく波長40m(C40)に基づく方法、1/3波長則に基づく方法(Ballard(1964))、および、Arai and Tokimatsu(2004, 2005)の手法を参考とした位相速度とH/Vによるインバージョン解析、Cho and Iwata(2019)のベイズ理論に基づいた手法のそれぞれのS波速度構造を求め、PS検層や、N値とS波速度構造の変換式で換算したS波速度構造(例えば太田・後藤(1978)等)と、AVS30から得られる最大速度増幅率(藤本・翠川(2006))等を計算し比較した。また、工学的基盤相当層(Vs400)上面から伝達関数関数を計算し、地震観測記録から計算されるスペクトル増幅率(地表地震記録の速度応答スペクトル/距離減衰式における速度応答スペクトル)を用いてS波速度構造の精度の検証を行った。
(参考文献)
藤本一雄・翠川三郎 (2006):近接観測点ペアの強震観測記録に基づく地盤増幅度と地盤の平均S波 速度の関係,日本地震工学会論文集,6,1,11-22.
地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2017):「地下構造モデル作成の考え方」に基づいて作成された関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデル説明資料.
地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2021):「地下構造モデル作成の考え方」に基づいて作成された関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデル説明資料.
長尾毅, 紺野克昭 (2002) :常時微動アレー観測に基づく表層地盤の平均S波速度推定精度に関する研究, 土木学会論文集, No.696, I-58, pp.225-235.
Arai, H., and K. Tokimatsu (2004) : S-wave velocity profiling by inversion of microtremor H/V spectra, Bull. Seism. Soc. Am., 94, no.1, pp.53-63.
Cho, T. Iwata(2019) : A Bayesian Approach to Microtremor Array Methods for Estimating Shallow S Wave Velocity Structures: Identifying Structural Singularities, Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 124(1), pp.527-553.
(参考文献)
藤本一雄・翠川三郎 (2006):近接観測点ペアの強震観測記録に基づく地盤増幅度と地盤の平均S波 速度の関係,日本地震工学会論文集,6,1,11-22.
地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2017):「地下構造モデル作成の考え方」に基づいて作成された関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデル説明資料.
地震調査研究推進本部地震調査委員会 (2021):「地下構造モデル作成の考え方」に基づいて作成された関東地方の浅部・深部統合地盤構造モデル説明資料.
長尾毅, 紺野克昭 (2002) :常時微動アレー観測に基づく表層地盤の平均S波速度推定精度に関する研究, 土木学会論文集, No.696, I-58, pp.225-235.
Arai, H., and K. Tokimatsu (2004) : S-wave velocity profiling by inversion of microtremor H/V spectra, Bull. Seism. Soc. Am., 94, no.1, pp.53-63.
Cho, T. Iwata(2019) : A Bayesian Approach to Microtremor Array Methods for Estimating Shallow S Wave Velocity Structures: Identifying Structural Singularities, Journal of Geophysical Research: Solid Earth, 124(1), pp.527-553.