The 2022 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (1st Day)

Regular session » S16. Subsurface structure and its effect on ground motion

[S16P] AM-P

Mon. Oct 24, 2022 9:30 AM - 12:00 PM ROOM P-2 (10th floor (Conference Room 1010-1070))

9:30 AM - 12:00 PM

[S16P-11] Site investigation by surface wave measurements on subsidiary faults of 2016 Kumamoto Earthquake

*Naoto INOUE1, Kotaro Mizutani1, Naoko Kitada1, Kazuki Watanabe2, Noriyuki Shibuya2, Masashi Omata2 (1. Geo-Research Institute, 2. PASCO)

地震により地表地震断層が発生すると,副次的な断層が時には断層主部(主断層)から数km 離れて発生することもある.特に主断層から離れた場所に発生する副次的な断層には,既存断層構造との関係が指摘されている( Boncio et al., 2018 ,Nurminen et al., 2020 ,高橋・他, 2020 ).そこで,副次的な断層が発生した地点の地下構造を明らかにすべくトレンチ調査を行ってきた(例えば渋谷・他, 2018 )が,トレンチ調査では検討できる深度に限度があるため,物理探査により浅部地下構造の検討を行った.2016年熊本地震の際にSARにより抽出された微小な地表変状が示唆された箇所(小俣・他, 2017 )で表面波探査やGPR探査を行い,浅部地下構造の検討を行った.本発表では表面波探査の結果について報告する.表面波探査は浅部地質構造調査に有効な手法の一つである.地表付近を伝播する表面波はS波速度構造に敏感であり,減衰しにくいため測定が容易である(例えば三浦, 2017や林・他, 2001など).岩石の堅さとS波速度には相関性があり,堅い岩石ほどS波速度が大きくなる.探査機材はMcSEIS-SXWを用い,受震点・発信点はいずれも2m 間隔とした.震源には10kgの掛矢を用いた.解析はSeisImager( Geometrics, 2019 )を用いた.計測したデータから表面波の位相速度を求め,これを説明する地下構造を逆解析により推定を行った.ほとんどの測線で深くなるにしたがい速度は速くなる傾向にある.得られた浅部速度構造からは,断層構造を示唆するような明瞭な速度コントラストはみられなかった.しかしながら,多くの箇所で側方に速度構造が変化している(低速度層が厚くなる)傾向がみられた.したがって,地震時に副次的な断層に相当するような変状を呈する場所は,地下に不均質構造を有する可能性が考えられる.一方,地表で微小な変状が確認されたところでも速度構造に側方変化がみとめられなかった測線もあったが,表面波探査ではとらえることができないスケールの不均質構造があるのか,それとも明瞭な不均質構造みられないものの副次的な断層が発生しているのかは今回の限られた表面波探査の結果からのみで考察することは困難であった.GPR探査やトレンチ調査等の各種浅部地下構造調査結果の蓄積が必要と考えられる.

謝辞:表面波探査の際には現地の方々にご協力いただいた.なお,本検討の一部は令和3年度原子力施設等防災対策等委託費(断層変位評価に係る調査)事業によるものである.

参考文献:Boncio, P. et al. (2018): Natural Hazards and Earth System Sciences, 18, 1, pp. 241–256. Geometrics (2019): https://www.geometrics.com/ wp-content/uploads/2021/05/SeisImagerSW_Documentation.zip. Nurminen, F. et al. (2020): Frontiers in Earth Science, 8, p. 456, DOI: 10.3389/feart.2020.581605. 高橋直也・他(2020):活断層研究,2020,53,pp.51-65,DOI: 10.11462/afr.2020.53_51. 三浦みなみ(2017):博士論文,URL:https://ci.nii.ac.jp/naid/500001054729.渋谷典幸・他(2018):日本地質学会学術大会講演要旨.小俣雅志・他(2017):日本活断層学会2017年度秋季学術大会講演予稿集,P-4. 林宏一・他(2001):応用地質技術年報.応用地質.