16:00 〜 16:15
[S01-16] 不均質媒質を透過する弾性波のふるまい(1) ~不均質強さによる差異を明らかにするために~
媒質の弾性波伝播特性は、震源から観測点までの弾性波の伝達函数であるグリーン函数を規定するものであり、強震動予測をはじめとする幅広い分野において基本となるパラメタである。媒質の特徴として、スケーリングされた不均質の特徴的サイズやスケーリングされた伝播距離がその媒質を透過する弾性波の挙動に大きな影響を与えることはよく知られている(例えば、Aki and Richards, 1980)。なかでも、波線論の適用限界を超えて波動として扱うべき不均質が存在する場合には注意が必要である。不均質度合いが弱い場合における伝達函数については、近似的な記述方法が与えられており(例えば、Sato and Fehler, 1998)、実用的な計算プログラムが公開されている(Maeda et al., 2017)。一方、どの程度の不均質まで従来法の適用が可能であるか、不均質度合いが強い場合にどのように取り扱うべきかについてはよく分かっていない。この問題に取り組むためには、様々な不均質を含む媒質に対する弾性波透過を実際におこない、波形記録がどのような特徴を持っているか、明らかにしておくことが肝要である。
そこで本研究では、実験室内で不均質媒質に対する弾性波透過試験を実施し、波動場の時空間発展の不均質強さによる違いを調べることを目標とする。正確な波動を計測するために、Nishizawa et al. (1997)などによって提案されているレーザードップラー速度計(LDV)を採用する。まず、弱い(10 %程度以下)不均質媒質として、花崗岩試料から計測を開始する。
幅200 mm、高さ150mm、奥行き50 mmの試料に対して奥行き方向に弾性波を透過させる。送信面の中央に送信用の厚み振動型圧電振動子を貼り付けて、これに繰り返し電圧パルスを印加することで弾性波を繰り返し放射させる。放射された弾性波は対面に格子状に配置された観測点で観測する。我々の採用するLDVは電子技研工業社製V100の高周波拡張型のもので、0.5 Hzから3 MHzの範囲で応答が-3 dB以内である。本研究では、LDVは直交する3方向で受信することとし(方向によっては違うタイミングでの計測となるが、繰り返し同じ波を放射することができるため、違うタイミングで計測を行っても問題ないことは確認済みである)、3成分波形として取り扱う。波形は4 MHzのアンチエイリアス=フィルターを通したのちに10 Mspsで収録された。収録された3成分波形を用いて、波の伝播方向成分およびその直交成分などについて、周波数ごとに等位相面の時空間的な発展を調べ、本手法の性能を明らかにする。
謝辞:本研究はJSPS科研費JP22H01336の助成を受けた。
そこで本研究では、実験室内で不均質媒質に対する弾性波透過試験を実施し、波動場の時空間発展の不均質強さによる違いを調べることを目標とする。正確な波動を計測するために、Nishizawa et al. (1997)などによって提案されているレーザードップラー速度計(LDV)を採用する。まず、弱い(10 %程度以下)不均質媒質として、花崗岩試料から計測を開始する。
幅200 mm、高さ150mm、奥行き50 mmの試料に対して奥行き方向に弾性波を透過させる。送信面の中央に送信用の厚み振動型圧電振動子を貼り付けて、これに繰り返し電圧パルスを印加することで弾性波を繰り返し放射させる。放射された弾性波は対面に格子状に配置された観測点で観測する。我々の採用するLDVは電子技研工業社製V100の高周波拡張型のもので、0.5 Hzから3 MHzの範囲で応答が-3 dB以内である。本研究では、LDVは直交する3方向で受信することとし(方向によっては違うタイミングでの計測となるが、繰り返し同じ波を放射することができるため、違うタイミングで計測を行っても問題ないことは確認済みである)、3成分波形として取り扱う。波形は4 MHzのアンチエイリアス=フィルターを通したのちに10 Mspsで収録された。収録された3成分波形を用いて、波の伝播方向成分およびその直交成分などについて、周波数ごとに等位相面の時空間的な発展を調べ、本手法の性能を明らかにする。
謝辞:本研究はJSPS科研費JP22H01336の助成を受けた。