The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room C

Regular session » S03. Crustal deformation, GNSS, and gravity

[S03] PM-1

Tue. Oct 31, 2023 1:30 PM - 2:45 PM Room C (F202)

chairperson:Yusuke Yokota, Tadashi Ishikawa

2:15 PM - 2:30 PM

[S03-12] Reanalysis of GNSS-A data obtained in the Hateruma basin at the southwestern end of the Ryukyu trench

*Ryosuke Nakahata1, Ryoya Ikuta1, keiichi Tadokoro2, Yasushi Harada3 (1. Shizuoka University, 2. Nagoya University, 3. Tokai University)

我々は琉球海溝南西端、琉球海溝に面した波照間海盆に海底局OHTMを設置してGNSS-A測地観測を行ってきた。昨年度の本学会で発表した2014年から2022年の海底局位置(中畑ほか, 2022)について、GNSS解析を見直して再解析を行った結果を報告する。

琉球海溝南西端に位置する八重山諸島は、1771年4月24日に発生した「八重山津波」によって壊滅的な被害を受けたことが知られている。Nakamura (2009)は、八重山津波の発生源として、琉球海溝南西端のプレート境界浅部で発生したMw8.0の津波地震である可能性を示唆している。そこで我々は、琉球海溝南西端のプレート境界における固着の有無を明らかにするために、2014年10月に波照間島南沖約40km、前弧海盆である波照間海盆内に海底局OHTMを設置した。OHTMは水深約3300mの海底に、3台のトランスポンダを水深のおおむね1/√2程度の外接円直径をもつ正三角形に配置することで構成されている。

我々は昨年度の地震学会秋季大会で、2014年10月から2022年6月まで、2021年を除いて年1エポック、合計8エポックのOHTMの測位結果からプレート境界浅部に固着が無いことを推定した。また推定精度の向上のために今後も観測を継続する必要性を述べた。ところがその後、海底局OHTMを構成するトランスポンダのバッテリーが切れ、新たな観測エポックの追加は不可能となった。これを機に改めて過去のデータ、特にGNSS解析について見直しをしたので本発表で紹介し、再解析によって得られた2014年10月から2022年6月までの海底局OHTMの座標変化の結果を報告する。

GNSS解析は、高須知二氏によって開発されたオープンソースの解析ソフトウェアRTKLIB(高須ほか, 2007)を用いて行った。最初に独自に設置した陸上基準局の座標を、ITRF2008(Altamimi et al. 2011)で座標値が与えられているIGS点を基準として30秒サンプリングの位相データでstatic解析した。次に得られた座標値に基づいて、陸上基準局に対する船上アンテナの位置を0.2秒サンプリングでkinematic解析した。

昨年度までの解析では、static解析に用いるIGS点として2014年から2017年及び2022年は観測点TNMLを、2018年から2020年は観測点TWTFを使用してきたが、用いるIGS点の違いにより陸上基準局座標の推定結果に水平成分で3cm程度のオフセットが生じていたことがわかった(図)。そこで再解析においてはIGS点として原則TWTFのみを用い、TWTFのデータの無い2015年のエポックのみTNMLを用いた。2015年のエポックについても、得られた陸上基準局座標から上記のオフセットを差し引くことで異なるIGS点を用いた効果を補正した。陸上基準局は機器の故障や設置場所の制約の都合で、2014年は石垣市立平真小学校屋上のGNSSアンテナ(観測点HESN)、2015年は台湾中央研究院地球科学研究所の観測点SUAB、2016年は同研究所の観測点SUAO、2017年以降は石垣市立崎枝小中学校屋上のGNSSアンテナ(観測点SKED)と変遷している。これらの基準局座標を再決定し、全エポックの船上アンテナのkinematic GNSS再解析を完了した。

得られた船上アンテナ位置に基づき、海底局位置解析プログラムOCDASAN (Ikuta et al. 2008) を用いて海底局位置の再解析を行った結果を報告する。


謝辞:本研究はJSPS科研費26287104、17K05630、22H01335の助成を受けたものです。記して感謝いたします。

引用文献
Altamimi et al. (2011). J. Geod., 85:457–473. DOI 10.1007/s00190-011-0444-4
Ikuta et al. (2008). JGR, 113, B0240. DOI 10.1029/2006JB004875
Nakamura (2009). GRL, 36, L19307. DOI 10.1029/2009GL039730
高須ほか (2007).
https://gpspp.sakura.ne.jp/paper2005/gpssymp_2007_rtklib.pdf