The 2023 SSJ Fall Meeting

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Poster session (Sept. 17th)

Regular session » S06. Crustal structure

[S06P] PM-P

Wed. Nov 1, 2023 5:00 PM - 6:30 PM Room P6 (F201 and 3 side foyer) (Hall Annex)

[S06P-04] Structural characteristics of the incoming plate in the Japan Trench and their correspondence to the megathrust slip styles

*Yasuyuki NAKAMURA1, Gou FUJIE1, Shuichi KODAIRA1, Mikiya YAMASHITA2, Koichiro OBANA1, Tetsuo NO1, Seiichi MIURA1 (1. JAMSTEC, 2. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST))

日本海溝沈み込み帯では2011年東北地方太平洋沖地震(東北地震)を含む多くのプレート境界型地震が発生してきた。また近年、超低周波地震や微動、スロースリップなどの観測も報告されており、沈み込み帯における地震関連滑り現象を研究する上でも重要な場所である。我々は東北地震発生以降、日本海溝の海溝軸近傍で稠密測線による高分解能反射法地震探査を実施し、鹿島海山から襟裳海山付近までのほぼ日本海溝全域をカバーする測線でのデータを取得した。100本以上の反射断面の解釈を元に、海溝軸近傍の構造マッピングを行った結果、太平洋プレート上の堆積層厚さや地溝・海溝充填堆積物の分布、正断層の分布などのインプット構造の不均質性と、東北地震滑り域や微動・超低周波地震発生域との間には一定の対応があることがわかった。具体的には以下のとおりである。
・インプット構造の特徴から日本海溝は北緯37.5度以南、北緯37.5度-北緯39.5度、北緯39.5度以北の3つのセグメント(北からそれぞれ、北部、中部、南部セグメント)に大きく分けることができる。
・東北地震での滑りが大きかった領域は中部セグメントの大部分にあたる。この領域に沈み込む構造は、堆積層が比較的薄く(約150-350m)、北部や南部に比べて西落ちの正断層が多い。充填堆積物はところどころに見られるが、顕著ではない。沈み込み帯の巨大地震は厚い堆積層が沈み込んでいる場所で起こるとされているが、東北地震はこれにあたらない。
・北部・南部セグメントでは微動や超低周波地震が観測されており、比較的厚い堆積物(約300m以上)が沈み込んでいる。ここでは東落ち正断層が多く、東落ち正断層の麓にあたる地溝の海溝寄りに充填堆積物が溜まっている。
・中部セグメントの北緯38.8度付近には水平方向約10kmスケールの範囲でみかけの堆積層厚さが薄く海洋地殻基盤が高まっている箇所がある。この西側の沈み込み帯でも微動や超低周波地震が観測されている。中部-北部セグメント境界の北緯39.5度付近の海溝軸付近には、おそらくプチスポット活動由来と思われる約50kmスケールのみかけ堆積層厚さが薄い箇所があるが、この西側でも微動や超低周波地震が観測されている。

上記のように、日本海溝のインプット構造と沈み込み帯でのさまざまな断層滑り現象とには一定の対応が見られるが、たとえば微動・超低周波地震域には堆積層が厚い箇所と(見かけ上)極端に薄い(基盤の高まりがある)場所の双方が対応するなど、その関係性は複雑であるように見える。同じ太平洋プレートが沈み込む千島海溝は、特にその西端付近では海溝充填堆積物が非常に厚く(最大約500m)溜まっており、陸側斜面下では微動が観測されている。地塁・地溝構造を持つ海洋プレートが充填堆積物を含む厚い堆積層が溜まった状態で沈み込むことで、特に地溝内の柔らかい堆積物が沈み込み、プレート境界近傍の間隙水圧を上昇させるなどして微動や超低周波地震を起こしやすい環境を形成している可能性がある。これに加え、沈み込むプレートの基盤上の高まりは、小規模であっても微動や超低周波地震の発生に寄与しているのかもしれない。