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[S08-13] Mega-earthquake potential along the Peruvian subduction zone based on shear stress build-up and the earthquake energy balance
海溝帯における巨大地震発生の評価は通常、地域の地震履歴に基づいて行われる。 しかしながら、地震カタログに含まれる情報は巨大地震間において不完全である。 さらに、応力とひずみの蓄積や、破壊に対する断層強度等は、プレート境界で発生する大地震の破壊物理的プロセスの科学知見を、組み込む必要がある。 日本の南海・東南海沈み込み帯における最近の研究では、すべり欠損領域が、プレート境界での断層すべりを支配する局所的な摩擦強度特性等を、直接反映していないことが示されている。 したがって、地震発生の物理的条件を解明するために、プレート境界の力学カップリングモデルと地震エネルギー収支が提案されている(Noda et al. 2021)。 このモデルでは、ひずみエネルギーが断層破壊エネルギーを超えない限り、地震破壊は起こらない。 一方、巨大地震の断層破壊中には極めて強い動的弱化が発生することが、様々な摩擦実験データや動的破壊数値モデル等から明らかになりつつある。 本研究では、強力な動的断層弱化効果を考慮した地震エネルギー収支に組み込み、それをペルーの海溝型巨大地震発生ポテンシャル評価のために適用する。 破壊エネルギー (G) を計算するには、海溝型地震の震源断層破壊過程モデルのグローバルデータベースと 、2D 有限幅滑り動的破壊モデル (Pulido 2023、準備中) から得られた平均断層滑りと G のスケーリング法則を使用する。 本研究では、地震滑り欠損モデル (ISC) (Villegas-Lanza et al. 2016) と、個々のセグメントごとの過去最大規模の地震からの発生期間を用いて、ペルーの沈み込み沿岸帯に沿った、せん断応力蓄積レートと、総蓄積せん断応力分布を計算した。この情報を用いて、複数の破壊シナリオを設定し、各地震シナリオの破壊エネルギーとエネルギー収支の推定に基づいて、巨大地震発生の可能性について検討した。 その結果、ペルー中部(リマ地域)とペルー最南部(チリ近郊)の沈み込み帯が、数十年以内に、それぞれMw~8.9とMw~8.5の巨大地震を発生させるための、必要物理条件を満たすことを示している。 近年、世界中のISC モデルのデータが大量に利用可能になったことと、プレート境界の断層破壊エネルギーのスケーリング法則との統合において、本研究の手法を用いて、世界中の沈み込み帯の大地震発生ポテンシャルの一次評価は可能であると考えられる。