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[S08-14] Inter-plate sluggish slip: its initiation and growth
1.序 伊豆・小笠原海溝のプレート沈み込みは非地震性滑りの代表例である。この海溝内側水深約5000mの海底で、2015年5月末から1年間、高感度水晶式水圧計によるアレー観測が実施された。我々はこの記録を解析し、M6.0の地震がアレー直下に発生したこと、その直後と3.5日後に、通常の地震よりは遅くSlow Slip Eventよりは早い滑り現象(Rapid Aseismic Slip)を見出した(Fukao et al., 2021, JGR)。今回は、(1)これらはほぼ1か月にわたってズルズルと続く滑りの中の数イベントであり、他にもいくつか主要なイベントがあるべきこと、(2)この期間、海底の上下変形は時間とともに増大し、最終的に水平距離10kmで高低差5cmを生む海底変動が生じたこと(3)sluggish滑りは、台風16号がアレーに最接近し海底水圧が低下したときと同期しているように見えること、を示す。 2.記録 図は8月4日から47日間の8観測点の海底水圧記録である。NaotideとLowpass-filterを用いて海洋潮汐を除去しようとしたが適切なfilteringが未だできていない。以下、観測点B01,B09,B10の水圧変化(紫、赤、黒色の太線)の時間変化を追いかける。①台風16号が接近するまで海底に有意な高低差運動なし。②台風接近に伴う海底水圧の低下をきっかけに海底の高低差運動始まる。③B10の相対的隆起とB09の相対的沈降進行。④M6地震と直後のRapid Aseismic Slip (2)によりB10の相対的隆起とB09の相対的沈降が劇的に進行(2)、⑤地震から3.5日後のRapid Aseismic Slip (2)によりB10に対するB01の相対的沈降が急激に進行、⑥B10に対するB09の相対的沈降が続くがその勢いは次第に弱まり活動は終息に向かう。 3.考察 このズルズル滑りの中から、これまでに前震・本震・余震型の地震1イベント、Rapid Aseismic slip 2イベントが検出されているが、記録は他にもイベント的な滑りがあることを示唆する。それらの一部がRapid aseismic よりも遅く、通常のslow slip eventsの範疇に仕分けされる可能性もる。伊豆・小笠原小笠原海溝では、こうした多様なモードの滑りの連鎖的発生がプレート間滑りの主流かもしれない。