The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room A

Regular session » S09. Statistical seismology and underlying physical processes

[S09] AM-2

Thu. Nov 2, 2023 10:45 AM - 12:00 PM Room A (F205+206)

chairperson:Kei Katsumata, Kazuyoshi Nanjo Nanjo

10:45 AM - 11:00 AM

[S09-14] Long-term seismic quiescence in South America and cases of prediction failure

*Kei KATSUMATA1 (1. Institute of Seismology and Volcanology, Hokkaido University)

1.はじめに
地震活動の長期静穏化に基づく地震発生予測実験(Katsumata and Nakatani, EPS, 2021)によると,長期静穏化が起きても,その後M7.5以上の大規模地震が発生しない場合(空振り)がかなり多いことが分かる.空振りとなってしまう静穏化の原因としては,(1)地震活動の長期的なゆらぎ,(2)大地震の先行現象とは別の現象,などが考えられる.本研究では,南米地域の静穏化とその後発生したイベントを比較し,空振りの事例について報告する.

2.データと解析
研究領域は,45°S-10°N,65°W-85°Wの南米太平洋沿岸地域である.1965年1月1日から2020年12月31日までに研究領域で発生した実体波マグニチュード5.0以上,深さ60 km以浅の地震をISC Bulletinから選択した.そして開始年を1年ずつずらして,期間長39年のサブカタログを18個作成した.具体的には,1965~2003年,1966~2004年,・・・,1981~2019年,1982~2020年の18個である.各サブカタログをstochastic declustering 法 (Zhuang et al., 2005)を使用してデクラスタリングした後,PMAP法(Katsumata and Zhuang, PAGEOPH, 2020)を用いて長期静穏化を探索した.

3.結果
PMAP法ではP値が小さいほど強い静穏化を表す.P値が10-3程度以下の長期静穏化とそれに対応する可能性があるイベントを下の表に示す.表中のNo.1とNo.2に対しては静穏化に対応するイベントは見つからなかった.No.3とNo.5は,長期静穏化の後,M8以上の大規模地震は発生しなかったが,中規模地震を含む顕著な群発地震活動が観測された.静穏化後に大規模地震が発生しなかったという意味では「空振り」事例であろう.講演ではNo.3とNo.5について詳しく説明する.