The 2023 SSJ Fall Meeting

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Room B

Regular session » S14. Earthquake prediction and forecast

[S14] PM-2

Wed. Nov 1, 2023 3:15 PM - 4:15 PM Room B (F201)

chairperson:Masajiro Imoto (National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)

3:45 PM - 4:00 PM

[S14-03] Application of an Earthquake Early Warning with the PLUM Method to the 2023 Türkiye-Syria Earthquake

*Masaru Morinaga1, Masumi Yamada2 (1. Graduate School of Science, Kyoto University, 2. Disaster Prevention Research Institute, Kyoto University)

PLUM法 (Propagation of Local Undamped Motion method) は,日本の早期地震警報システムにおいて用いられている手法の一つである.この手法は,震源や地震規模の推定を行わずに,周辺の震度観測を参照して震度予測を行うものである.それゆえ,特に,震源域の広い地震が起きた際に役に立っている,しかし,現行のスキームでは,対象地点から30km圏内の観測点を利用するので,少なくとも30km間隔よりも高密度の観測網が必要となる.しかしながら,日本以外の国では,このように高密度な観測網が整備されていない国も多い.そのため,疎な観測網にも適用可能なPLUM法のスキームの設計が,当座の課題となっている.

 そこで,現在まだPLUM法が運用されていないトルコで起きた地震 (the 2023 Türkiye–Syria Earthquake, Mw 7.8) に対して,試験的にPLUM法を適用した.この地震は2023年2月6日 01:17:34 (UTC)に発生し,震央は37.226°N 37.014°E,震源の深さは10.0 kmであった.用いた地震計のデータの期間は01:17:07 から01:26:19まで,有効な観測点の数は275個であった.

 現行のPLUM法のスキームでは,対象地点を囲む半径R = 30 km の円内の観測点の震度と,その地域の地盤特性を用い,各観測点から対象地点に伝播する地震動の震度をそれぞれ計算して,その中の最大値を対象地点の予測震度としている.

 しかしながら今回のデータでは,30km圏内に他の観測点が一つもない観測点が74点 (27%),一つしかない観測点が87点 (32%) あり,カバレッジは十分とは言えない.そこで今回は,従来手法に加えて,予測に使う観測点の距離を 30km 以内から 50 km 以内に広げてシミュレーションを行った.また,当該地域の地盤特性は解明されていないので,地盤増幅を無視して計算を行った.さらに,震度については,日本の気象庁で用いられているリアルタイム震度と同じ手法を,今回のデータにも適用した.

 その結果,予測に使う観測点の距離を長く取ると,カバレッジが改善される一方で,各点の最大観測震度と最大予測震度のRMSE (Root-Mean-Square Error) が大きくなることが確認できた.今後はこのような,観測点が疎な地域で活用できる,新たなPLUM法のスキームを模索していきたいと考えている.