The 2023 SSJ Fall Meeting

Presentation information

Poster session (Sep. 16th)

Regular session » S15. Strong ground motion and earthquake disaster

[S15P] PM-P

Tue. Oct 31, 2023 5:00 PM - 6:30 PM Room P2 (F205 and 6 side foyer) (Hall Annex)

[S15P-12] Real-time seismic intensity prediction using deep learning and synthetic data

*Anju Ohta1, Ahyi Kim1, Yukino Yazaki1, Hisahiko Kubo2, Masami Yamasaki1 (1. Yokohama City University, 2. NIED)

地震発生時、リアルタイムに各地の震度や大きな揺れの到達時間を知ることは、瞬時の安全確保や避難のタイミング、救助活動等の点で重要である。しかしながら、空間的に高解像度な震度予測を精度良く行うには、観測点密度の増加が効果的であるが、コスト面で難しい。そこで現在は地質情報を用いる補完方法が使用されているが、地質情報の質や量で精度が左右されるという課題もある。これに対し、既存の地質情報を使用しない深層学習での震度予測も提案されている。本研究では比較的学習データが少ない横浜市周辺において、深層学習モデルLong-Short Time Memory(LSTM)を使用してリアルタイム震度の予測モデルを作成した。また、模擬データを用いたデータ拡張の有効性についても検討した。 本研究では、ある予測観測点1点のリアルタイム震度の時系列を周辺4つの観測点のリアルタイム震度から予測する。この5つの観測点には、防災科学技術研究所の強震観測網K-NETから予測観測点にKNG002、入力観測点にKNG004、KNG012、TKY007、TKY021を用いた。ここで得た観測波形データは功刀他(2013)の手法でリアルタイム震度に変換し、データ長を100秒に統一して学習する。本研究では学習するデータに基づいて3つの手法に分けて行った。(1)観測実データのみでの学習では、1996年~2022年で5つすべての観測点で観測できたイベントの中で、P波が含まれていることを確認できたイベント(147イベント)の観測波形データを用いて学習を行う。(2)観測実データと模擬データの学習では、予測観測点と入力観測点4つのうち1つでも観測できたイベントの中で、P波が含まれているイベント(410イベント)の観測波形データを用いる。このイベントの中で観測できていない、もしくはP波が含まれていない地震は久保・功刀(2022)の手法を用いて模擬データを作成し補完した。(3)模擬データのみでの学習では、(2)と同じイベントを使用するが、すべて模擬データに置き換えたもので学習を行った。そしてそれぞれの手法で、0秒先予測と事前予測である8秒先予測を行った。予測結果の評価指標にはMAEとRMSEを使用し、8秒先予測では入力観測点の距離で重みづけした加重平均値、PLUM法を模した入力観測点の最大値も加えて比較を行った。(1)-(3)において、特に8秒先予測ではRMSE、MAEの値は加重平均値よりは低く、最大入力値とはほぼ同等の精度となった。しかし、予測された時系列を確認するとリアルタイム震度の短時間での急激な変動が目立った。そのため、移動平均的な意味合いでダウンサンプリングを行った結果、0秒先予測8秒先予測ともに値の上下振動が緩和された。また、過去に観測データがない地点での予測可能性を考慮し、シナリオ地震の検討を行った。ここでは既存の地震データの範囲で、震源の緯度、経度、深さ、マグニチュードのパラメータをランダムに決定してシナリオ地震を作成し、入力観測点で記録されたとした場合の模擬データを2000個作成した。この模擬データを学習データとして学習・予測をしたところ、上記(1)-(3)の方法とほぼ同等の精度となった。この結果により、教師データがない地点での予測の有効性が示唆された。次のステップとして、さらなる精度の向上を図るために、入力観測点の追加も検討する。