[S15P-19] Evaluation of the influence of Surface Topography on Earthquake Ground Motions
1995年の兵庫県南部地震以降、3次元の地下構造モデルと差分法を用いた長周期地震動のシミュレーションが多く行われている。しかし、差分法を用いた地震動シミュレーションでは、起伏を有する地表面を考慮せず、フラットな地表を仮定して差分法の計算が行われることが多い。しかしながら、検討が行われ層構造を有する地下構造モデルでは地表面を各層の層厚を保ったまま水平に押し込んだモデルを用いて検討が行われることがほとんどであり、こうした場合、表層地形が地震動に与える影響を評価することができていない。 本検討では、二次元有限要素法を用いて、表層地形が地震動に与える影響を評価し、フラットな地表を仮定した場合と比較し、どの程度、地表の地震動が増加、または減少するかを検証する。 本検討では、まず、極表層の地盤について、仮想のモデルを用いて地表の地形が、地震動に与える影響を評価する。具体的には、水平成層地盤の地表のみ段差を有する地盤構造を仮定する。次に、地盤モデルの底面に鉛直上向きに平面波を入射し、地表の地震動の段差構造付近での変化を評価する。なお、この検討では、主に工学的基盤以浅の地盤を想定して検討を行う。検討の結果、最上層の地盤のS波速度は100m/s、段差の高さを3mとし、中心周波数1Hzのリッカー波をSV波として入力した場合、地表の地震動の最大速度は、段差の上側で、フラットの地表のモデルと比べ、最大25%程度大きくなった。 次に、実地盤モデルを用い、点震源を仮定して、地震動シミュレーションを実施し、地表の地形が、地震動に与える影響を評価する。ここでは、甲府盆地とその周辺地域を対象とした地震動シミュレーションの結果を示す。解析対象測線、後述の波形出力点および震央の位置を図1に示す。解析領域は図1に示すように、北緯35.63度、東経136.75度を西端とし、東西に190km、深さは標高-100kmまでの断面とした。波形出力点は解析領域の西端から169km離れた地点である。地下構造は23層の層構造で構成される地震本部(2012)のモデルを用いる。解析領域は深さ12km以浅とした。解析対象とした領域では、最上面の層は地震本部(2012)のモデルの第7層であった。解析の有効周期1秒以上とし、震源は1つの点震源を仮定し、震源深さ10km震源時間関数にはSmoothed Ramp Functionを用い、ライズタイムは有効周期を考慮し1.7秒とした。検討の結果、甲府盆地内の地震動について、フラットな地表を仮定した場合と比べ、地表の地形を考慮した場合では、地表の地震動の最大速度はEW成分で最大で40%程度、UD成分で100%程度大きくなった。 以上の結果は、地表の地形の地震動への影響は、場所によっては、大きくなる場合があり、地表をフラットとした場合の検討では危険側の検討になることがあることを示唆している。今後、より詳細な検討を実施し、どういった場合に、どういった場所で危険側の評価になるかを明らかにしていく予定である。 1995年の兵庫県南部地震以降、3次元の地下構造モデルと差分法を用いた長周期地震動のシミュレーションが多く行われている。しかし、差分法を用いた地震動シミュレーションでは、起伏を有する地表面を考慮せず、フラットな地表を仮定して差分法の計算が行われることが多い。しかしながら、検討が行われ層構造を有する地下構造モデルでは地表面を各層の層厚を保ったまま水平に押し込んだモデルを用いて検討が行われることがほとんどであり、こうした場合、表層地形が地震動に与える影響を評価することができていない。 本検討では、二次元有限要素法を用いて、表層地形が地震動に与える影響を評価し、フラットな地表を仮定した場合と比較し、どの程度、地表の地震動が増加、または減少するかを検証する。 本検討では、まず、極表層の地盤について、仮想のモデルを用いて地表の地形が、地震動に与える影響を評価する。具体的には、水平成層地盤の地表のみ段差を有する地盤構造を仮定する。次に、地盤モデルの底面に鉛直上向きに平面波を入射し、地表の地震動の段差構造付近での変化を評価する。なお、この検討では、主に工学的基盤以浅の地盤を想定して検討を行う。検討の結果、最上層の地盤のS波速度は100m/s、段差の高さを3mとし、中心周波数1Hzのリッカー波をSV波として入力した場合、地表の地震動の最大速度は、段差の上側で、フラットの地表のモデルと比べ、最大25%程度大きくなった。 次に、実地盤モデルを用い、点震源を仮定して、地震動シミュレーションを実施し、地表の地形が、地震動に与える影響を評価する。ここでは、甲府盆地とその周辺地域を対象とした地震動シミュレーションの結果を示す。解析対象測線、後述の波形出力点および震央の位置を図1に示す。解析領域は図1に示すように、北緯35.63度、東経136.75度を西端とし、東西に190km、深さは標高-100kmまでの断面とした。波形出力点は解析領域の西端から169km離れた地点である。地下構造は23層の層構造で構成される地震本部(2012)のモデルを用いる。解析領域は深さ12km以浅とした。解析対象とした領域では、最上面の層は地震本部(2012)のモデルの第7層であった。解析の有効周期1秒以上とし、震源は1つの点震源を仮定し、震源深さ10km震源時間関数にはSmoothed Ramp Functionを用い、ライズタイムは有効周期を考慮し1.7秒とした。検討の結果、甲府盆地内の地震動について、フラットな地表を仮定した場合と比べ、地表の地形を考慮した場合では、地表の地震動の最大速度はEW成分で最大で40%程度、UD成分で100%程度大きくなった。 以上の結果は、地表の地形の地震動への影響は、場所によっては、大きくなる場合があり、地表をフラットとした場合の検討では危険側の検討になることがあることを示唆している。今後、より詳細な検討を実施し、どういった場合に、どういった場所で危険側の評価になるかを明らかにしていく予定である。