日本地震学会2023年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(1日目)

一般セッション » S17. 津波

[S17P] PM-P

2023年10月31日(火) 17:00 〜 18:30 P7会場 (F201・3側フォワイエ) (アネックスホール)

[S17P-07] 2020年アラスカサンドポイント地震の津波波形逆解析

*内藤 瑛乃1、馬場 俊孝1 (1. 徳島大学大学院)

アメリカアラスカ半島の沖では太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込んでおり,地震活動が活発である.この領域では2020年シメオノフ地震(M7.8)を皮切りに,2020年サンドポイント地震(M7.6),2021年チグニック地震(M8.2)が連続で発生した.これらは,多くの沈み込み帯で見られる連動型地震を理解する上で重要なイベントである. 2020年サンドポイント地震は横ずれ断層の地震で,複数のDART観測点で津波も記録された.USGSによる断層モデルを用いてこの津波を計算してみたが,DART観測点で得られた津波波形をうまく再現できなかった.本研究では,津波波形逆解析によって2020年サンドポイント地震の津波波源を推定し,この地震の特性を解明するための重要な情報を得ることを目的としている.USGS断層モデル付近にガウス分布で定義した複数の初期水位変動を与えてDART観測点での津波波形グリーン関数を計算し,それらにリッジ回帰を適用して津波波源(初期水位分布)を推定した.逆解析にも係わらず,津波の理論波形が観測津波高を明らかに下回り再現性が悪かった.そこで,DARTでの津波走時から津波逆伝搬図を描いてみたところ,USGSの断層モデルの東側に津波波源があっても良いことがわかった.津波波源を東に広げて津波逆解析を再度行ったところ,今回は観測津波波形をよく再現できる初期水位分布が求められた.得られた初期水位分布はUSGSの断層モデルよりも明らかに東側に広く,その東側には初期水位の沈降域がイメージングされた.このことから,DARTで観測された津波波形を再現するには横ずれ断層だけでは不十分で,東側に何らかの津波発生原因が必要であると考えられる.