9:50 AM - 10:05 AM
[S23-02] Future Probability of Occurrence of the Next M~8 Kanto Earthquake for Various Combination of Past Events
1923年大正関東地震の前の関東地震として,1703年元禄関東地震が古くから知られており,房総半島南部での隆起量や東岸での津波高さが大正関東地震よりも大きかったことから,それぞれ「大正型」「元禄型」関東地震とされてきた.2004年に地震調査委員会から発表された「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価」においては,大正型,元禄型関東地震の発生間隔はそれぞれ200~400年,2300年程度とされ,2002年から30年間の発生確率はそれぞれ0~0.8%,ほぼ0%とされた.
2014年に改訂された「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」では,大正型,元禄型を一括してM8クラスとして扱い,1293年の地震も加えた3地震から平均発生間隔は315年,30年発生確率は0~2%とした.また,岩井低地などに発達する浜堤列(宍倉・他,2001,地震;2005, 活断層・古地震研究報告)のうち,見落としが少ないと考えられる3000年間(2400~5400CalBP)の9回のイベントから,30年発生確率をほぼ0~5%と推定した.
Ishibashi (2020, SRL)は古代~中世の史料に基づき,過去の関東地震の候補について検討した.818年(弘仁九年)の関東諸国の地震ならびに1257年(正嘉元年)の鎌倉の地震については,被害分布や余震の数などから,M8級の関東地震ではなく,小規模・局地的な地震であるとした.そして,878年(元慶二年),1293年(正応六年,永仁元年),1433年(永享五年),1495年(明応七年)の地震が関東地震の候補であり,最後の二つのうちでは 1495年よりも1433年の方が関東地震の可能性が高いとした(表1).
ここでは,Ishibashi(2020)が候補とした4地震及び1703年(元禄地震),1923年(大正地震)から,関東地震とみなす地震の組み合わせを変えて,今後30年間の発生確率及びその時間変化を計算した(表2). 地震調査委員会(2014)と同様に3地震(正応,元禄,大正)を選んだ場合,これらに明応あるいは永享を加えた4地震,さらに元慶を加えた二通りの5地震, 6地震すべてを使った場合について, 30年確率(BPTとポアソン)の時間変化を図に示す。 Ishibashi(2020)も指摘しているように,正応,明応,元禄,大正の4地震の平均発生間隔は210±7年となり,αが最も小さい(最も規則的である).この場合,今後30年間の発生確率は,前回地震から160年(西暦2083年頃)まではほとんど0%あるが,その後急に増加し,西暦2127年(前回地震から204年) 頃にはほぼ100%となる.一方で, これらのすべての6地震を考慮した場合,発生間隔は209年±117年とばらつきが大きく,最短は62年(1433~1495年)である.そのため今後30年間の発生確率は地震後すぐに増加し,現時点(地震発生後100年)ですでに19%と,ポアソン過程(13%)よりも高い値を示す.他の場合(3地震,組み合わせを変えた4地震,5地震)はこれらの中間的な値となる.
歴史上のどの地震が関東地震であるか,特に15世紀(明応または永享)の地震の特定によって,今後の発生確率は大きく変化する.
2014年に改訂された「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価(第二版)」では,大正型,元禄型を一括してM8クラスとして扱い,1293年の地震も加えた3地震から平均発生間隔は315年,30年発生確率は0~2%とした.また,岩井低地などに発達する浜堤列(宍倉・他,2001,地震;2005, 活断層・古地震研究報告)のうち,見落としが少ないと考えられる3000年間(2400~5400CalBP)の9回のイベントから,30年発生確率をほぼ0~5%と推定した.
Ishibashi (2020, SRL)は古代~中世の史料に基づき,過去の関東地震の候補について検討した.818年(弘仁九年)の関東諸国の地震ならびに1257年(正嘉元年)の鎌倉の地震については,被害分布や余震の数などから,M8級の関東地震ではなく,小規模・局地的な地震であるとした.そして,878年(元慶二年),1293年(正応六年,永仁元年),1433年(永享五年),1495年(明応七年)の地震が関東地震の候補であり,最後の二つのうちでは 1495年よりも1433年の方が関東地震の可能性が高いとした(表1).
ここでは,Ishibashi(2020)が候補とした4地震及び1703年(元禄地震),1923年(大正地震)から,関東地震とみなす地震の組み合わせを変えて,今後30年間の発生確率及びその時間変化を計算した(表2). 地震調査委員会(2014)と同様に3地震(正応,元禄,大正)を選んだ場合,これらに明応あるいは永享を加えた4地震,さらに元慶を加えた二通りの5地震, 6地震すべてを使った場合について, 30年確率(BPTとポアソン)の時間変化を図に示す。 Ishibashi(2020)も指摘しているように,正応,明応,元禄,大正の4地震の平均発生間隔は210±7年となり,αが最も小さい(最も規則的である).この場合,今後30年間の発生確率は,前回地震から160年(西暦2083年頃)まではほとんど0%あるが,その後急に増加し,西暦2127年(前回地震から204年) 頃にはほぼ100%となる.一方で, これらのすべての6地震を考慮した場合,発生間隔は209年±117年とばらつきが大きく,最短は62年(1433~1495年)である.そのため今後30年間の発生確率は地震後すぐに増加し,現時点(地震発生後100年)ですでに19%と,ポアソン過程(13%)よりも高い値を示す.他の場合(3地震,組み合わせを変えた4地震,5地震)はこれらの中間的な値となる.
歴史上のどの地震が関東地震であるか,特に15世紀(明応または永享)の地震の特定によって,今後の発生確率は大きく変化する.