10:15 AM - 10:30 AM
[S01-06] Autocorrelation analysis of site amplification factor from the spectral inversion method of strong-motion data: principle and method
強震動地震学や地震工学の分野では,複数観測点・複数イベントの強震記録からスペクトルインバージョン法を用いて,震源スペクトル・伝播経路特性・サイト増幅特性が振幅スペクトルの形で分離抽出することが多くの地域で行われてきた(例えば,川瀬・松尾 (2004))。そのサイト増幅特性は観測点下の地震基盤から地表までの地盤のS波の鉛直平面波入射応答と等価(正確には,その2分の1)と解釈されて,その振幅スペクトルから地盤速度構造の推定に活用されている。本研究では,視点を変えて,サイト増幅特性のパワースペクトルを逆フーリエ変換した,謂わばサイト増幅特性の自己相関関数に着目した構造解析法を提案する。
地震基盤から地表までの地盤の鉛直平面波入射応答の自己相関関数は,Claerbout (1968)(SH波についてはSherbaum (1987)やNakahara (2006))のKunetz-Claerbout式によって地表(自由表面)による多重反射を含む(地表震源地表受信の因果性及び反因果性の)反射プロファイルの疑似記録と解釈することができる。Kunetz-Claerbout式による疑似反射プロファイルの推定は,個々のイベント個々の観測点の記録に個別に利用できるスペクトル・ホワイトニングの手法を利用することでも実装可能であり,現在広く利用されている(例えば,Chimoto & Yamanaka (2019))。
以下,S波平面波鉛直入射の理論波形を用いたデータの処理例を示す。
Fig. 1(a)は,地震基盤(Vs=3.2 km/s)の上に2層地盤(厚さ30 m, Vs=0.3 km/sの浅部地盤と厚さ970 m, Vs=1 km/sの深部地盤)が載った地下構造モデルに下から単位振幅の平面波が入射した場合の地表での理論波形から計算した自己相関関数である。用いた周波数帯域は0~20 Hzである。その振幅スペクトルが,実際の強震記録のスペクトルインバージョンから得られたサイト増幅特性の(振幅)スペクトルに対応する。この関数の横軸(時間t)正の部分が(地表多重反射を含む)疑似反射プロファイルに当たる。Fig. 1(b)は(a)に地表生成多重反射波を消去する処理を施して得た,「自由表面がない」場合の反射プロファイルプロファイル(黒の実線)である。そこに,比較のために別途「自由表面がない」構造モデルの反射係数から理論的に求めた反射プロファイル(赤の破線)も重ねている。両者は完全に一致しており,処理法が正しいことを示している。原理的には,「自由表面がない」場合の仮想記録(透過波)の自己相関関数もサイト増幅特性の振幅スペクトルから求めることができる(Fig. 1(c))。
本発表では,サイト増幅特性に自己相関解析法を適用するための原理と処理方法に焦点を当てた発表を行う。実データを用いた検証については,別に南方・他 (本大会)で発表する。
地震基盤から地表までの地盤の鉛直平面波入射応答の自己相関関数は,Claerbout (1968)(SH波についてはSherbaum (1987)やNakahara (2006))のKunetz-Claerbout式によって地表(自由表面)による多重反射を含む(地表震源地表受信の因果性及び反因果性の)反射プロファイルの疑似記録と解釈することができる。Kunetz-Claerbout式による疑似反射プロファイルの推定は,個々のイベント個々の観測点の記録に個別に利用できるスペクトル・ホワイトニングの手法を利用することでも実装可能であり,現在広く利用されている(例えば,Chimoto & Yamanaka (2019))。
以下,S波平面波鉛直入射の理論波形を用いたデータの処理例を示す。
Fig. 1(a)は,地震基盤(Vs=3.2 km/s)の上に2層地盤(厚さ30 m, Vs=0.3 km/sの浅部地盤と厚さ970 m, Vs=1 km/sの深部地盤)が載った地下構造モデルに下から単位振幅の平面波が入射した場合の地表での理論波形から計算した自己相関関数である。用いた周波数帯域は0~20 Hzである。その振幅スペクトルが,実際の強震記録のスペクトルインバージョンから得られたサイト増幅特性の(振幅)スペクトルに対応する。この関数の横軸(時間t)正の部分が(地表多重反射を含む)疑似反射プロファイルに当たる。Fig. 1(b)は(a)に地表生成多重反射波を消去する処理を施して得た,「自由表面がない」場合の反射プロファイルプロファイル(黒の実線)である。そこに,比較のために別途「自由表面がない」構造モデルの反射係数から理論的に求めた反射プロファイル(赤の破線)も重ねている。両者は完全に一致しており,処理法が正しいことを示している。原理的には,「自由表面がない」場合の仮想記録(透過波)の自己相関関数もサイト増幅特性の振幅スペクトルから求めることができる(Fig. 1(c))。
本発表では,サイト増幅特性に自己相関解析法を適用するための原理と処理方法に焦点を当てた発表を行う。実データを用いた検証については,別に南方・他 (本大会)で発表する。