12:00 〜 12:15
[S02-12] hypoTDによる高精度震源を用いた反射法探査の試み
1.はじめに 地下構造には、大きな不均質性が存在し、不均質性が震源決定の大きな誤差要因になっている。Horiuchi et al.(2024)によるhypoTDは、解析領域で発生する、多数のテンプレート地震を登録し、テンプレート地震との相対震源決定を行うことで、不均質性の影響を少なくする震源決定法である。彼らは、気象庁一元化震源で、過去22年間に発生した全ての地震、約410万個の震源の再決定を行い、気象庁一元化震源によるそれと比較し、精度の高い震源が得られることを示した。hypoTDによる震源決定ソフトは㈱ホームサイスモメータから公開(https://www.homeseismo.com/html/download_hypo.html)されており、計算された震源分布を、白山工業の3D表示ソフト(https://www.hakusan.co.jp/research_and_development/hypoTD.html)を用いて、誰でも見られるようにした。本報告では、hypoTDによる、高精度震源データを用いて、自然地震を用いた反射法探査が行えるか検討した。
2.hypoTD hypoTDとは、マスターイベント法を改良した震源決定法である。マスターイベント法は、一個のマスターイベントを用いて、複数の地震の震源を決定しているが、hypoTDは、複数(50個)のマスターイベント(テンプレート地震と呼ぶ)を用いて、一個の震源を決定する方法である。 複数の地震を用いるメリットは、1)読み取り精度の低い到着時刻データを、高精度で検出し、削除できること、2)複数の地震との相対震源決定による、震源位置の空間的バラツキを利用して、ノイズイベントを除去できることである。また、Waldhauser & Ellsworth (2000)によるhypoDDによる震源決定結果との比較から、hypoTDは、hypoDD以上に高精度で、震源計算に用いるパラメータの与え方で、震源位置が系統的にずれるという問題がないことが示されている。
3.結果 日光・足尾地域では、地震活動が活発で、地殻深部からの顕著な反射波が観測されている地域である(溝上,1980, Horiuchi et al.,1988)。 この地域で発生する地震600個の波形データを、防災科学技術研究所Hi-gh ネットページからダウンロードし、解析に使わせて頂いた。解析に用いた地震は、hypoTDによる震源の深さが8-10kmで、震央が、図1の四角で示されて領域で発生した大き目の地震である。 図は、N.ASOHで観測された、複数の地震のNS成分の波形に、1)5-10Hzのバンドパスを通し、2)近傍で発生した相関の高い地震とのコンボルーション波形を計算し、3)0.2秒のAGCフィルターを通し、4)S波到着時刻以降について、NMO補正を行って、時間軸を深さ軸に変換した場合の波形である。 波形は、南東方向から、北東方向に沿って、下から、上に向かって表示している。 図が示すように、深さ19km付近からの、明瞭な反射波が見えている。震源の深さに誤差がある場合は、観測される反射波の深さは、深さの決定誤差の約2倍変化するはずである。図から明らかなように、観測された反射面の深さに、大きな揺らぎはない。他の観測点でも、同様の結果が得られている。
4.結論 自然地震を用いた反射法探査では、震源決定の誤差が、解析の誤差要因になっている。hypoTDにより決定された地震の震源決定精度は高く、自然地震を用いた大規模な反射法探査が行える可能性があると、期待される。
2.hypoTD hypoTDとは、マスターイベント法を改良した震源決定法である。マスターイベント法は、一個のマスターイベントを用いて、複数の地震の震源を決定しているが、hypoTDは、複数(50個)のマスターイベント(テンプレート地震と呼ぶ)を用いて、一個の震源を決定する方法である。 複数の地震を用いるメリットは、1)読み取り精度の低い到着時刻データを、高精度で検出し、削除できること、2)複数の地震との相対震源決定による、震源位置の空間的バラツキを利用して、ノイズイベントを除去できることである。また、Waldhauser & Ellsworth (2000)によるhypoDDによる震源決定結果との比較から、hypoTDは、hypoDD以上に高精度で、震源計算に用いるパラメータの与え方で、震源位置が系統的にずれるという問題がないことが示されている。
3.結果 日光・足尾地域では、地震活動が活発で、地殻深部からの顕著な反射波が観測されている地域である(溝上,1980, Horiuchi et al.,1988)。 この地域で発生する地震600個の波形データを、防災科学技術研究所Hi-gh ネットページからダウンロードし、解析に使わせて頂いた。解析に用いた地震は、hypoTDによる震源の深さが8-10kmで、震央が、図1の四角で示されて領域で発生した大き目の地震である。 図は、N.ASOHで観測された、複数の地震のNS成分の波形に、1)5-10Hzのバンドパスを通し、2)近傍で発生した相関の高い地震とのコンボルーション波形を計算し、3)0.2秒のAGCフィルターを通し、4)S波到着時刻以降について、NMO補正を行って、時間軸を深さ軸に変換した場合の波形である。 波形は、南東方向から、北東方向に沿って、下から、上に向かって表示している。 図が示すように、深さ19km付近からの、明瞭な反射波が見えている。震源の深さに誤差がある場合は、観測される反射波の深さは、深さの決定誤差の約2倍変化するはずである。図から明らかなように、観測された反射面の深さに、大きな揺らぎはない。他の観測点でも、同様の結果が得られている。
4.結論 自然地震を用いた反射法探査では、震源決定の誤差が、解析の誤差要因になっている。hypoTDにより決定された地震の震源決定精度は高く、自然地震を用いた大規模な反射法探査が行える可能性があると、期待される。