日本地震学会2024年度秋季大会

講演情報

ポスター会場(1日目)

一般セッション » S03. 地殻変動・GNSS・重力

[S03P] PM-P

2024年10月21日(月) 17:15 〜 18:45 ポスター会場 (2階メインホール)

[S03P-06] 航空レーザ計測データを用いた令和6年能登半島地震に伴う地形変化の特徴

*石田 聡史1、木村 慎吾1、野原 幸嗣1、浜田 昌明1、高山 陶子2、吉田 崇博2、山口 弘幸3、平松 良浩4 (1. 北陸電力株式会社、2. アジア航測株式会社、3. ナチュラルコンサルタント株式会社、4. 金沢大学)

はじめに 
 2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震の震源断層は,能登半島北岸沿いに分布するセグメント(猿山沖セグメント,輪島沖セグメント,珠洲沖セグメント)(井上・岡村,2010)が活動したものである可能性が高いとされており,陸域では4mを超える隆起が確認されている(国土地理院,2024)。本研究では,地震後に能登半島北部全域で航空レーザ計測を行い,地震前後の点群データを用いて,広範囲の面的な地震時隆起量を調査した。また,能登半島沿岸の海棲生物指標を用いた隆起量調査等のデータも加え,令和6年能登半島地震に伴う地形変化の特徴について報告する。

データ
 
 解析に使用した航空レーザ計測データは,沿岸部を2024年2~3月,山間部については雪解け後の2024年5月に計測を行った。地震前後の隆起量の推定にはCCICP(Classification and Combined Iterative Closest Point)手法を用い,本研究では, 50mメッシュで解析を実施した。なお,地震前のデータは2007~2010年に北陸電力が取得した航空レーザ計測データを使用したため,東北地方太平洋沖地震や2023年5月5日に発生した石川県能登地方の地震による影響を含んでいる。
 海棲生物指標を用いた隆起量調査については,小林ほか(2024)で報告されており,本研究では,それらに追加して富山湾に面した沿岸部で現地調査を行った。

結果・考察 
 CCICP手法により算出した隆起量うち,最も大きな隆起は猿山沖セグメント西部の輪島市門前町吉浦~鹿磯付近で約4~5.5mとなり,次いで輪島沖セグメント東部付近の珠洲市大谷町~長橋町付近で約2~2.5mが確認された。それ以外のエリアの隆起量は約0~2mであった。北岸エリアの水平成分については,西~西北西方向に約1~2mの変動量を示し,猿山沖セグメント西部と輪島沖セグメント東部付近で鉛直成分の割合が大きく,輪島沖セグメント西部~猿山沖セグメント東部付近では水平成分の割合が大きくなる傾向が見られた。
 沿岸部における隆起量については,航空レーザ計測データの地震前後の差分値に基づく隆起量と海棲生物指標を用いた隆起量は調和的な傾向が認められた。発表では内陸部の隆起量の変化について検討し,能登半島北部における全体的な変動傾向について考察を行う予定である。

参考文献
井上卓彦・岡村行信(2010):能登半島北部周辺20万分の1海域地質図説明書,海陸シームレス地質情報集,能登半島北部,数値地質図S-1.
国土地理院(2024):「だいち2号」観測データの解析による令和6年能登半島地震に伴う地殻変動(2024年1月19日更新).https://www.gsi.go.jp/uchusokuchi/20240101noto_insar.html
小林航・石田聡史・野原幸嗣・浜田昌明・平松良浩・山口弘幸・吉田崇博・高山陶子(2024):令和6年能登半島地震による能登半島沿岸部の地震時隆起量,日本地球惑星科学連合2024年大会,U15-P81.