[S06P-05] 飛騨山脈及びその周辺における三次元減衰構造の解析
飛騨山脈の周辺では, 地震波が大きく減衰することが以前から知られている. 例えば, 溝上・他 (1983) では, 飛騨山脈西側で発生する地震波動の振幅の減衰は著しく, 東側では検知できない場合が多いことを指摘した. 飛騨山脈およびその周辺における地震波の異常減衰を理解するためには, その定量的, 空間的把握が必要となる. しかし, これまでの研究では, 解析領域が必ずしも飛騨山脈を主対象としていなかったり, 地殻のどの部分で減衰が激しいのか必ずしも明確とはなっていなかったりする. そこで本研究では, 減衰の程度を表すQs値をトモグラフィインバージョンにより推定し, 飛騨山脈及びその周辺の三次元減衰構造を明らかにすることを目的として解析を行なった.
本解析に用いるデータとしては防災科学技術研究所 K-NET 及び KiK-net強震計の加速度強振記録を用いた. 震源の緯度, 経度, 深さ, モーメントマグニチュードは防災科学技術研究所F-netの値を用いる. 現状では 436 の地震データを解析に使用している.
本研究では, 三次元トモグラフィインバージョンによる手法 (中村, 2009) を用いて飛騨山脈及びその周辺のQs値の推定を実施した. このとき, 1ブロックの大きさを緯度0.1°×経度0.1°×深さ10kmとした. 地震jによる観測点iでの加速度フーリエスペクトルは以下のように表すことができる.
αij(f) = Saj(f)・Ge・(ρSB βSB / ρj βj)0.5・gi(f)・exp(-πfΣTijk/Qk(f))
ここで, Saj(f)は震源での加速度フーリエスペクトル, Geは震源距離の逆数, ρSBは地震基盤における密度, βSBは地震基盤における地震波速度, ρjは震源での密度, βjは震源での地震波速度, giは観測点におけるサイト増幅特性, Qk(f)はk番目のブロックでのQs値, Tijkはk番目のブロックを通過するのに要する時間である. LSQRプログラム(Paige and Sunders, 1982)を用いてブロック毎の-πf/Q(f)kを推定した(図(a)). また, 解像度の解析としてチェカーボード解像度テストを実施した(図(b)).
深さ0-10kmでは, 飛騨山脈周辺に異常減衰が確認された. しかし, 深さ10km以降は大きく減衰していない. 一方, 深さ30-40kmでは, 高減衰域が長野県東部の火山フロント周辺に分布している. 飛騨山脈周辺では火山フロント沿いの火山と異なり, 浅い部分に高減衰領域が集中している. 今後はHi-netのデータを加えるなどして解析制度の向上を目指し, 飛騨山脈周辺の浅い部分における異常減衰の原因を明らかにしていきたいと考えている.
謝辞
本研究では防災科学技術研究所K-NET, Kik-netの観測データ, F-netのメカニズム解を使用した.
本解析に用いるデータとしては防災科学技術研究所 K-NET 及び KiK-net強震計の加速度強振記録を用いた. 震源の緯度, 経度, 深さ, モーメントマグニチュードは防災科学技術研究所F-netの値を用いる. 現状では 436 の地震データを解析に使用している.
本研究では, 三次元トモグラフィインバージョンによる手法 (中村, 2009) を用いて飛騨山脈及びその周辺のQs値の推定を実施した. このとき, 1ブロックの大きさを緯度0.1°×経度0.1°×深さ10kmとした. 地震jによる観測点iでの加速度フーリエスペクトルは以下のように表すことができる.
αij(f) = Saj(f)・Ge・(ρSB βSB / ρj βj)0.5・gi(f)・exp(-πfΣTijk/Qk(f))
ここで, Saj(f)は震源での加速度フーリエスペクトル, Geは震源距離の逆数, ρSBは地震基盤における密度, βSBは地震基盤における地震波速度, ρjは震源での密度, βjは震源での地震波速度, giは観測点におけるサイト増幅特性, Qk(f)はk番目のブロックでのQs値, Tijkはk番目のブロックを通過するのに要する時間である. LSQRプログラム(Paige and Sunders, 1982)を用いてブロック毎の-πf/Q(f)kを推定した(図(a)). また, 解像度の解析としてチェカーボード解像度テストを実施した(図(b)).
深さ0-10kmでは, 飛騨山脈周辺に異常減衰が確認された. しかし, 深さ10km以降は大きく減衰していない. 一方, 深さ30-40kmでは, 高減衰域が長野県東部の火山フロント周辺に分布している. 飛騨山脈周辺では火山フロント沿いの火山と異なり, 浅い部分に高減衰領域が集中している. 今後はHi-netのデータを加えるなどして解析制度の向上を目指し, 飛騨山脈周辺の浅い部分における異常減衰の原因を明らかにしていきたいと考えている.
謝辞
本研究では防災科学技術研究所K-NET, Kik-netの観測データ, F-netのメカニズム解を使用した.