[S06P-06] Retrieval of persistent S reflections from the megasplay fault beneath C0010
南海トラフ域において、2014年からC0002において鉛直地震計アレイが設置されている。この記録に地震波干渉法を適用し、Tonegawa et al. (2023, JpGU)では付加体中の分岐断層と沈み込むフィリピン海プレートの海洋性地殻上面からの定常的な反射S波の抽出に成功した。反射S波の振幅は短期および長期で変化しており、この結果は分岐断層の海洋性地殻上面の間の低速度域内の流体の移動を示唆している。このような流体の移動をさらに詳しく調べるために、本研究では2023年9月から2024年2月までC0010に広帯域地震計を設置し、深部から反射S波が抽出されるかどうかを検証した。その結果、低速度域の上面と海洋性地殻上面からの反射S波を抽出することに成功した。さらに、C0010では分岐断層よりも深くまで掘削しているため、鉛直アレイはこの分岐断層をまたいでいる。高周波数帯域の常時ノイズ記録で地震波干渉法を適用した際には、この分岐断層からのPs変換波を抽出できた。これらの結果は、もしC0010に広帯域地震計を設置すれば、反射S波とPs変換波の両方を用いて異なる深さの地震波速度構造をモニタリングすることが可能である。熊野灘でのこれまでのスロー地震の繰り返し周期から、次は2025年にスロー地震が発生する可能性が高い。今後、C0010に加えてC0006でも広帯域地震計を設置して鉛直アレイを構築する予定である。C0002も併せて計3点の鉛直アレイで2025年のスロー地震を観測することが期待される。
謝辞本研究はJSPS科研費JP21H05202, JP21H05204の助成を受けたものです。
謝辞本研究はJSPS科研費JP21H05202, JP21H05204の助成を受けたものです。