[S06P-11] Characteristics of high concentration REY-rich mud distribution revealed by the distribution of sedimentary layers near Minamitori Is.
南鳥島は東京都小笠原村に属する日本最東端の島であり、国内で唯一太平洋プレートの上に存在する島である。東京からの距離はおよそ1900 kmである。近年の調査研究によって、日本の排他的経済水域(EEZ)である南鳥島周辺海域は、マンガンノジュールやレアアースを多く含む堆積物(レアアース泥)などの多くの海底資源が発見されている。加藤(2015)は、南鳥島南方の調査地点において海底下3 m付近に、最高6500 ppmを超える超高濃度のレアアース泥が存在し、複数の地点で海底下10 m以内の浅い深度からレアアース泥が出現することを発見した。さらに、Nakamura et al.,(2016)は、サブボトムポロファイラーとピストンコアで得られたデータ・サンプルから、南鳥島周辺の代表的な表層地質構造断面図と海底表層に分布する堆積物の分布区分を示した。しかし、サブボトムプロファイラーで得られた地下構造よりも深い領域の構造をイメージングすることは、レアアース泥の成因過程を考察するために重要である。また、レアアース泥の分布と地下構造の関係を明らかにすることも重要である。 そこで本研究では、2015年に海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」を用いて実施された航海MR15-E01で取得された反射法地震探査データを用いた。解析の主な処理はジオメトリーの設定、シングルトレース、バンドパスフィルタ、NMO、一定速度解析、CMP重合、キルヒホッフ時間マイグレーション、トップミュートである。解析の結果、西測線では海底面が往復走時(TWT)7.5〜7.6秒付近にあり、わずかに南側に傾斜している。また、音響基盤はTWT7.9〜8.1秒付近にまばらに点在している。透明堆積層は非常に薄く一様に分布している。東測線は海底面がTWT7.6秒付近にあり、音響基盤は測線の中心部分(CMP1200付近)を境に不連続となっており、南側でTWT7.9秒付近、北側でTWT8.1秒付近に存在している。この不連続面を重力データと比較することで断層であると解釈した。また、TWT7.9~8.1秒付近に見られる音響基盤は、同海域で海上保安庁が実施した反射法・屈折法地震探査の結果から海洋地殻のトップ層であると考えられる(Kaneda et al., 2015)。そのため、本研究で解析した測線に見られる音響基盤も海洋地殻のトップ層と判断し、それよりも上層は堆積層であると解釈した。西測線と東測線の堆積層厚を検討すると、西測線で約400 m、東測線で断層を境に約160 mと約400 mとなる。そして、Nakamura et al.,(2016)の先行研究で得られているレアアース泥濃度分布図を解析した測線を重ねると、堆積層が厚いところでレアアース泥濃度が低く、堆積層が薄いところでレアアース泥濃度が高いことを明らかにした。
謝辞:本研究において解析したデータ取得を行っていただきました、MR15-E01航海の芥川船長をはじめ他乗組員の皆様、観測技術員の皆様、航海に関わったすべての皆様に感謝を申し上げます。反射法断面図を作成する上で解析するソフトを提供頂いた、株式会社地球科学総合研究所の皆様に深く御礼申し上げます。
謝辞:本研究において解析したデータ取得を行っていただきました、MR15-E01航海の芥川船長をはじめ他乗組員の皆様、観測技術員の皆様、航海に関わったすべての皆様に感謝を申し上げます。反射法断面図を作成する上で解析するソフトを提供頂いた、株式会社地球科学総合研究所の皆様に深く御礼申し上げます。