[S06P-15] D1 (本震と最大余震のマグニチュード差) と地殻内構造
余震は防災上からも関心が高い.余震の一つの指標である最大余震と本震のマグニチュードの差, D1, は,約 1.2 であることは経験的に知られている (Bath's law).D1 の地域性については,宇津 [1999] によりまとめられている.例えば,D1 は破砕地域では小さい [茂木, 1967],プレート境界沿いの地震の方が背弧側より小さい [Tsapanos, 1990] などの報告がある.また,Doser [1989] や 古本 [2005] らにより, D1 と地殻熱流量が相関付けられ,関谷・他 [2018] は,D1 と地震の下限深度の関連性を示す結果を得ている.これらはいずれも D1 が地震発生場の脆性領域の性質によることを示唆する.このように,世界中の多くの地域で解析され,地域性や地球物理学観測量との相関を調べる試みはあるが,いずれも D1 の地域的なばらつきや観測量との相関も必ずしも明瞭ではなく限定的である.
そこで,これらの関係を同様のデータを用いることにより見直し,他のパラメータについての関連について考察する.古本 (2005) は1926-2004 年の間に日本列島の陸域下付近で発生したマグニチュード 6.5 以上の地震 27個について,D1 と地殻熱流量の相関を得ている.ここでは,解析期間や条件を見直すことでデータ数を増やし,他のパラメータとの相関も加味して,D1 の地震発生場を規定する構造・応力分布などの要因との関連を考察する.また,さらに,様々なテクトニックな場でのこれまでの解析例をまとめ,D1 は地震の発生する脆性領域の性質と関係しているのか,余震系列と本震との間に本質的な差があのか,などについて検討した結果を紹介する.
そこで,これらの関係を同様のデータを用いることにより見直し,他のパラメータについての関連について考察する.古本 (2005) は1926-2004 年の間に日本列島の陸域下付近で発生したマグニチュード 6.5 以上の地震 27個について,D1 と地殻熱流量の相関を得ている.ここでは,解析期間や条件を見直すことでデータ数を増やし,他のパラメータとの相関も加味して,D1 の地震発生場を規定する構造・応力分布などの要因との関連を考察する.また,さらに,様々なテクトニックな場でのこれまでの解析例をまとめ,D1 は地震の発生する脆性領域の性質と関係しているのか,余震系列と本震との間に本質的な差があのか,などについて検討した結果を紹介する.