2:30 PM - 2:45 PM
[S07-05] Inferring 3-D azimuthally anisotropic structure around the northern edge of the Pacific LLSVP using waveform inversion
地震波異方性は、媒質の変形、流動に関連するとされる。最下部マントルに対しても異方性の存在が知られており、ほとんど未解明である最下部マントルの応力・変形状態についての貴重な観測情報となる可能性を持っている。しかし、現状推定されている最下部マントルの異方性構造の解像度は低く、さらにもっとも単純化された異方性である鉛直軸対称(VTI)異方性に対する結果が大半であることから、想定される複数の異方性の原因を絞るだけの情報は得られておらず、最下部マントルの応力状態への読み換えには不確定性が大きい。
本研究では、139,009の3成分広帯域波形のSおよびScSフェイズを用い、北太平洋の最下部マントルの3次元方位異方性(VTIより多くの自由度を持つ異方性)構造を求める波形インバージョンを行う。波形インバージョン法は、多数の異方性パラメータを自然に導入でき、異方性の空間分布の解像にも適することから、方位異方性を高い解像度で推定できることが期待される手法である。対象領域は、太平洋の巨大S波低速度域(LLSVP)の北側境界の周辺を含む。最下部マントルの異方性は平均的にVSH>VSVが卓越するが、低速度域はその例外である可能性が提示されており(e.g. Ritsema et al., 1998)、またLLSVPの境界周辺に方位異方性が観測されるとする研究も存在する(e.g. Cottaar & Romanowicz, 2013)。対象領域での方位異方性構造の推定は、地震波速度と異方性の相関を生み出す仕組み、および異方性の原因の制約のために大きな意味を持つ。
また、我々はインバージョン過程にベイズモデルを導入し、確率変数の共分散を考慮することによって結果の妥当性を高めるとともに、推定された異方性の有意性を検証する手法を開発した。従来の手法では、異方性の存在を前提とした解析により、結果に見かけの異方性が生じるおそれがあったため、ベイズモデルによる手法改善によってより確実に意味のある異方性を考察の対象とできるようになった。
推定結果を利用した考察として、異方性の有力な原因である、鉱物結晶の選択配向に関する解析を行う。最下部マントルを構成する鉱物の選択配向に対する実験的制約は未だ途上にあり、またどの鉱物が異方性の主要因となるかも不明である。方位異方性構造推定によって増加した比較可能なパラメータを用い、異方性の原因となる鉱物、応力状態の制約を行う。
本研究では、139,009の3成分広帯域波形のSおよびScSフェイズを用い、北太平洋の最下部マントルの3次元方位異方性(VTIより多くの自由度を持つ異方性)構造を求める波形インバージョンを行う。波形インバージョン法は、多数の異方性パラメータを自然に導入でき、異方性の空間分布の解像にも適することから、方位異方性を高い解像度で推定できることが期待される手法である。対象領域は、太平洋の巨大S波低速度域(LLSVP)の北側境界の周辺を含む。最下部マントルの異方性は平均的にVSH>VSVが卓越するが、低速度域はその例外である可能性が提示されており(e.g. Ritsema et al., 1998)、またLLSVPの境界周辺に方位異方性が観測されるとする研究も存在する(e.g. Cottaar & Romanowicz, 2013)。対象領域での方位異方性構造の推定は、地震波速度と異方性の相関を生み出す仕組み、および異方性の原因の制約のために大きな意味を持つ。
また、我々はインバージョン過程にベイズモデルを導入し、確率変数の共分散を考慮することによって結果の妥当性を高めるとともに、推定された異方性の有意性を検証する手法を開発した。従来の手法では、異方性の存在を前提とした解析により、結果に見かけの異方性が生じるおそれがあったため、ベイズモデルによる手法改善によってより確実に意味のある異方性を考察の対象とできるようになった。
推定結果を利用した考察として、異方性の有力な原因である、鉱物結晶の選択配向に関する解析を行う。最下部マントルを構成する鉱物の選択配向に対する実験的制約は未だ途上にあり、またどの鉱物が異方性の主要因となるかも不明である。方位異方性構造推定によって増加した比較可能なパラメータを用い、異方性の原因となる鉱物、応力状態の制約を行う。