[S07P-02] ScS Travel Times in Japan
地震の被害予測だけでなく、地球進化の理解のために地震波伝播の理解は重要な課題である。具体的には、地震波を用いて地球内部の地下構造を推定することによって、長い時間をかけてどのように地球内部が進化してきたかの理解に役立つことが期待できる。地球内部を伝わる地震波のうち、外殻で反射して伝わるS波はScS波と呼ばれる。ScS波はマントル内の不連続面や核マントル境界付近の影響を強く反映していると考えられており、不連続面の深さやインピーダンスコントラストの理解には最適である。本研究ではF-net連続波形をもとに、日本列島周辺で発生した地震に対して日本全国で観測されるScS波の走時を求め、理論走時と比較した。具体的には全球規模の平均的な地震波速度構造モデルであるIASP9について走時計算ツールtaupで求めた理論値と比較した。特に、いくつかの互いに近くで発生した地震について、震源の深さに対する依存性や、震源距離への依存性に着目した。これらの観測事実をもとに、速度構造の異常や核マントル境界の深さ異常について考察した。